警視庁は2016年の交通事故死者の数が前年を下回り3904人だったと発表した。これは前年の4117人より213人少ないという結果だ。統計上、最悪の数字である1970年と比べると4分の1だ。
この統計では「死亡者」とは事象発生から24時間以内に死亡した人数を指す。その他にも事故発生から24時間以内に死亡とか30日以内の死亡とかの統計数字もあるが、いずれにしろ減っている事は喜ばしいことである。
交通事故死、世界で125万人
過去20年間における年間交通事故死亡者前年比「減少」率推移を見ると、2000年ごろまでは死者数の前年比増加というものがあったが、2005以降は減少に転じ、08年以降には減少幅がゆるやかになっている。さらに2015年を見ると初めて減少率がマイナスとなっている。2016年が再びプラスに転じた事は悔やまれるが全体死亡者数が減少したのは、不幸中の幸いであったとも言える。
世界保健機関(WHO)によると、2013年の全世界交通事故の死者は約125万だそうだ。この数が前回の2010年調査と較べても横ばい状態であるとしている。
人口10万人当たりの交通事故死亡者の数を見ると、世界全体では17.5人に対し日本は4.7人。最も多いのはアフリカ(地域)の26.6人となっている。車両保有台数が世界の約54%しかないもかかわらずこの数値が高いことから、先進国と発展途上国との間には、まだ事故で死亡するリスクの格差が依然として高いことが分かる。
各国1万台当たりの交通事故死者数は韓国が突出
国・地域別の状況を見てみよう。交通事故総合分析センターの「交通事故の国際比較」(2014年)を見ると、各国の自動車1万台当たり交通事故死者数では韓国(2.93人)が突出して多くなっている。日本は(0.64人)、アメリカ(1.23人)、ドイツ(0.70人)、イギリス(0.53人)、フランス(0.88人)、スウェーデン(0.52人)、オランダ(0.54人)となっている。
日本も1990年頃までは現在の2倍以上だったが、英国のスミード氏が提唱する「スミードモデル」によれば、自動車保有台数当たりの死者数は車の普及率が上昇するに従って少なくなると指摘している。
交通手段別交通事故死者数の構成率を見ると日本と韓国は「歩行中」の割合が高い。日本は(36.2%)、韓国(38.9%)、アメリカ(14.9%)、イギリス(25.0%)、スウェーデン(19.3%)、フランス(14.7%)、ドイツ(15.5%)となっている。日本と韓国の歩行中の割合が高いのは車を利用する頻度が相対的に少ない事と、欧米に比べ歩行の割合が高いという都市構造が影響していると考えられる。
年齢層別死者数における構成率を見ると、日本は65歳以上の割合は(54.5%)なのに対し、韓国(36.0%)、アメリカ(17.5%)、イギリス(25.6%)、スウェーデン(34.4%)、フランス(22.8%)、ドイツ(29.2%)、となっている。その他の国はだいたい25~64歳の割合が高い。日本が高い理由は、高齢化が進んでいることだろう。
どの国も車は不可欠の交通手段だが、それぞれの国・地域で交通安全対策が行われるとともに、車に替わる新たな交通手段が誕生することなどで、交通事故のない社会が早く訪れてほしいものである。(ZUU online 編集部)