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投資の応用
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日本実業出版社より

「億り人」になる最後の決め手は、知識でも初期資金量でもない

億り人,投資家,自己コントロール
「億り人」は資産や人生だけではなく、「あるもの」をコントロールしている(photo by WrightStudio/fotolia)

全世界の市場参加者に勝つために必要なたった一つのモノ

トレードによって資産額1億円を達成した人のことを、俗に「億り人(おくりびと)」といいます。そのような呼称が生まれるくらい「投資で1億の資産を作る」という壁は高く険しいと同時に、いつかは超えたいものでもあります。

ところで、「投資家が『1億の壁』を超えるにあたって最も必要とされるものとは?」と聞かれたとき、あなたはなにを思い浮かべるでしょうか?

知識や技術、経験など、答えは人によって異なると思います。では、「億り人」はどう考えるのか? 日本株を専門に取り扱い、億越えを果たした堀哲也氏の著書『日本株 独学で60万円を7年で3億円にした実践投資法』(以下、本書)から、堀氏が考える「答え」を紹介します。

投資でもギャンブルでも、金が絡んだ途端に失われるモノ

堀氏は「勝ち続けている投資家は例外なく自己コントロールができている」として、次のように説いています。

株式投資で最も大事な能力はなんでしょうか? 知識? 経験? 技術? どれでもありません。それは、どのような事態になろうと常に冷静に判断できる能力です。

当たり前の話ですが、株式投資はお金が絡みます。ギャンブルなどもそうですが、人間はお金が絡むと冷静に行動できなくなることがあります。株式投資の世界で儲けているヘッジファンドや証券会社等の大口投資家は、自分たちが儲けるために、あらゆる方法を使ってあなたを含めた個人投資家の冷静さを奪いにきます

(中略)

しかし、後から冷静に考えてみると、なんでこんなところでこの株を売った(買った)のだろうと思うのです。株式投資の世界で儲け続けたいのであれば、決してこのような投資をしてはいけません。株価は、世界中の人間の心理によって作られますが、あなた自身は冷静に客観的に会社と株価を見続けなければならないのです。

(本書 P.169-170より。太字は編集による追加)

一般に「FXや先物などはゼロサムゲーム、株は非ゼロサムゲーム」と言われているとおり、株式市場では必ずしも他者の利益を無理に奪わなくても利益を上げることができます。しかし、ヘッジファンドなどの大口機関投資家は、他の参加者(主に個人投資家)の利益を奪うことでさらに収益をあげられるため、強引な売買を仕掛けてくることが少なくありません。

「自分の資産が目減りしていく恐怖」というのは非常に多大なプレッシャーですが、堀氏は「そのようなとき、冷静さを失うことなく市場に立つことができるかできないかが、億り人になれるかなれないかを決める」と語っています。

※ゼロサムゲーム:「ゲーム理論」という経済理論における用語で、参加者の総得点と総失点の和がゼロになるような状況を指す。このとき、誰かがプラス(得)になると、相対したもう一方はマイナス(損)を被る。

冷静さを失わないための「4つの鉄則と9つの実践」

では、冷静さを失わずにトレードするには、どのようにすればいいのか。同書で堀氏が提唱している「4つの鉄則と9つの実践」から、いくつかピックアップしてご紹介しましょう。

億り人,投資家,自己コントロール
本書よりP.175、189の画像を引用のうえ編集

鉄則2・自分と反対の意見に耳を傾ける

自分のポジションに対する反対意見を聞くメリットとして、堀氏は次の2点を挙げています。

  • トレード時の判断に見落としがなかったかどうかがわかる
  • 反対意見に大したものがない場合、自分の判断に対する自信につながる

たとえば、自分が買った銘柄が急落したときも事前にこうした意見も目にしておけば、悪材料による売りなのか、売り仕掛けなのかを冷静に判断する余地が生まれます。結果的に、狼狽売りで損切りをしなくても済むでしょう。

実践2・損切りは必要なときだけ行う

損失が致命的なレベルに達する前に行なう「損切り」は、市場で生き残るために必須の行為です。そのために使われるのが逆指値注文(またはストップロスオーダー)ですが、再三書いている通り、大口投資家は利ザヤを稼ぐために、値を大きく動かす仕掛けをしばしば行ってきます(いわゆる「逆指値狩り」「ストップ狩り」などと呼ばれる行為。具体的にはこちらの記事を参照。FXで説明されていますが、株でも理屈は同じです)。

多くのトレーダーは「ポジションを取ったところから○%」と、損切りのラインを機械的に置くことが多いですが、こうした無条件で機械的に行われる損切りをしていては資金が減っていく一方です(ただし、証拠金維持率が関わってくる信用取引は別)。堀氏は損切りについてこのように説いています。

せっかく「実践1」で銘柄を買った理由を書いているわけですから、買った理由が崩れた時は売る、崩れていない時は売らないということを徹底したほうが、トータルでは損をせずに済みます。

そもそも損切りが必要だと言われてきた理由は、下がり続ける株を持ち続けても資産を減らすだけなので、株価が下がった銘柄=今後も株価が下がる銘柄であることが多いという前提から、損切りしたほうが資産を減らさずに済むというものです。それより、上がる銘柄に再投資したほうがよい、という考え方です。

その理論からすれば、一時的に株価が落ちたけれど、今後は回復する銘柄であれば持ち続けていてよいことになります。そして、買った理由が1つも崩れていない銘柄は今後上がる可能性が高い株と言えますので、損切りする必要はないわけです。

(本書 P.179-180より)

実践5・有望な株がない時は現金を持ち続ける

本記事中では触れていませんが、前ページの図に書いてある通りポジションを持つときには、自分の中で確固たる理由をもってトレードすることが肝要です。逆にいえば「なんとなくで買った株は、大口の仕掛けのいいカモ」ということでもあります。

では、自信をもってポジションを持てるような銘柄がないときはどうすればいいのでしょうか。

答えは「待つ」です。相場格言に「休むも相場」というものがありますが、個人投資家は冷静さを失ったら負けです。手持ちの銘柄がないとついつい寂しくなってきますが、そうした理由でポジションを持つと前述の通り大口のカモにされるのがオチです。

ヘッジファンドをはじめとする大口機関投資家は、事業として投資を行っているので稼がねばならないノルマが存在します。しかし、個人投資家にはそのようなノルマは存在しません。キャッシュを温存し、ここぞというときに備えるのも大事なトレードなのです。


最近はコンピュータやAIによるHFT(High frequency trading、高頻度取引)の存在もあり、一概にそうとは言えないところもでてきていますが、市場取引の基本は人対人の心理戦です。ファンダメンタル/テクニカル分析の知識や豊富な資金を持つ方が有利なのは間違いないですが、こうした心構えを持ってさえいれば、そのようなハンデを覆すことも十分に可能です。ぜひ、あなたのトレードに役立ててみてください。(提供:日本実業出版社)

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