介護,倒産
(写真=Sergey Nivens/Shutterstock.com)

2016年は企業全体の倒産件数が1990年以来の低水準となり、企業の財務状況の改善が見られた。そのような中、「老人福祉・介護事業」の2016年の倒産件数は108件となり、前年比42.1%増と大きく増加した。2015年に2000年の調査開始以来最多となる76件を記録したが、2016年は更に介護事業の状況が悪化している。

以下、東京商工リサーチより発表された、2016年(1-12月)「老人福祉・介護事業」の倒産状況をもとに、介護事業関連の状況を確認してみよう。

業種と設立年数及び従業員数

老人福祉・介護事業の倒産による負債総額は、94億600万円であり、前年の63億8000万円から47.2%増となる。負債額別で見ると、負債5000万円未満が79件であり、構成比が73.1%であった。これは、前年の50件から58.0%増となり、小規模事業者の倒産が増加したことで、負債総額を押し上げたことになる。

「訪問介護事業」「通所・短期入所介護事業」「有料老人ホーム」といった業種別では、「訪問介護事業」が最多となり48件(前年29件)であり、前年から65.5%増と大幅に増えた。人手不足が原因で倒産に至った事業者もあった。次いで、「通所・短期入所介護事業」が38件(同29件)、「有料老人ホーム」が11件(同5件)となった。

設立年数別では、2011年以降の設立事業者が54件と全体の50%となり、設立5年以内の新しい事業者が半数となった。従業員数別では、5人未満が79件となり、前年の48件から大きく増加し、全体の73.1%を占めた。近年参入した小規模な事業者が倒産件数を押し上げている状況を顧みることができる。

倒産が増えた理由は?