Mansion
(写真=locrifa/Shutterstock.com)

なかなか上がらない給与や、将来受け取れるかどうか分からない年金への不安などから、副収入の獲得や資産形成を考える人は少なくないだろう。超低金利のため、銀行預金を資産運用として選択するのが難しい昨今、比較的安定した利回りを期待できる投資先として変わらず人気があるのが不動産だ。

不動産投資のなかでも、空室リスクの少なさや管理を柔軟に変更できる一棟マンション投資が人気のようだ。しかし、一棟物件はリスクが高そう、どのように始めたらよいか分からない、と一歩を踏み出せない人も少なくない。そこで、一棟マンション投資がどのようなものか、そのメリット・デメリットや始め方なども含めて紹介する。

一棟マンション投資のメリット・デメリット

一棟マンション投資は、マンションを一棟全て購入することだ。建物内にある戸数全てと、土地が投資対象となる。その分、購入資金も大きくなる。一方で、区分所有マンション投資は分譲マンションの一室が投資対象となる。こちらは購入資金が一棟投資と比べて小さい。一棟マンション投資のメリットとデメリットをみていこう。

● メリット

・ 一棟マンション投資は区分所有マンション投資に比べて空室によるキャッシュフローのマイナスリスクが少ない
一棟マンション投資は複数戸所有しているため、全室が同時に空室になる可能性は低い。区分所有マンション投資と違って、空室リスクを分散できるのは大きなメリットと言える。

・ 一棟マンション投資は修繕や建て替えなどの融通が利きやすい
区分所有マンションでは、マンションの共用部分や建物については一般的に管理組合の管理下にあるため、自分の一存で変更することはできない。一棟マンション所有であれば、購入後に物件の方向性を柔軟に変更ができる。

● デメリット

・ 購入資金が大きい
一棟マンション投資は区分所有マンション投資に比べて購入金額が高くなることが一般的だ。また現金一括購入できる人は少ないので、融資を受けることになる。購入者の年齢、属性、資産、収入によっては融資を断われることもあり、区分所有マンションに比べて資金調達のハードルが高いといえる。もちろん、区分所有マンション投資も、条件によっては融資を断われることがある。

・ 修繕費の管理
区分所有マンションと異なり、一棟マンション所有の場合は自分で修繕費を管理することとなる。従って、将来の修繕などでどの程度の予算が必要になるか、事前に長期修繕計画を策定するとよいだろう。

一棟マンション投資の始め方

次に、一棟マンション投資をどうやって始めたらよいのか、流れを説明しよう。

1. 購入したい物件のイメージを固める
賃料収入を得るためか転売目的かなど、何を目的として購入するのかを明確にしておく。また、資産形成の着地点を決めておくことで購入する物件も絞ることができるだろう。

2. 収支計画作成
イメージが固まったら、大まかな収支計画を立てておく。自己資金や月々のローン返済がいくらまでなら可能かなどを前もって計算しておこう。これで購入可能な物件がある程度見えてくるだろう。

3. 情報収集と物件探し
あらゆる媒体から物件の情報を収集する。どこの地域のどのような価格帯の物件が良いか、収益性が高そうな物件を探す。最近はインターネット上でも膨大な数の物件が確認できる。

4. 不動産会社に詳細を確認
収益が見込めそうな物件が見つかったら不動産会社に内容を確認してみよう。その際に自己資金や希望条件などを伝えて、専門家の視点で相談に乗ってもらうと良いだろう。

5. 内覧及び現地確認
内覧できる物件は必ず現地に行って見ておく。外観・部屋の状態はもちろんだが、屋上などの共用部分などもチェックしておこう。補修の要否については必ず確認しておきたい。

6. 資金計画作成
購入する物件が決まれば、細かい資金繰りの部分も計算できる。ここで、融資可能金額も含めた具体的な資金計画を立て、収支が成り立つか精査しておこう。

7. 購入申し込み
資金の準備が可能となれば、物件をおさえるために不動産会社の仲介で「購入申込書」および、「買付証明書」を売主に提出する。金額に折り合いがつけば、契約日時などを決めることになる。

8. 融資審査申し込み
契約前に金融機関へ融資審査の申し込みをする。一棟マンションの融資は、物件(土地・建物)を担保とした「担保ローン」の意味合いがあるため、担保力として物件の収益性が重視される。さらに、賃貸物件としての運営能力も問われるため「事業ローン」の役割も持っている。金融機関の印象を良くするため、最低でも1年間くらいの事業計画書は作成しておいた方が良いだろう。

このように、資金計画は綿密に設計し、的確な計画書を金融機関に提示する必要がある。でなければ、融資を受けることは難しいだろう。以上の、メリットやデメリットを踏まえ、万全の準備で一棟マンション投資のチャレンジをしてみてはいかがだろうか。 (提供: みんなの投資online

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