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(写真=PIXTA)

新華社が「トランプ就任後の中米関係はどうなる?」というタイトルの記事を配信した。新政権発足を直前にして、中国は何を恐れているのだろうか。以下要点をピックアップしてみよう。

中米のシステムは両極端

大国間関係には陰陽や寒暑はつきものである。それは大国間の天気図と言える。世界第一と第二の経済体である米中関係の舞台上でもそれらは常につきまとう。

中国国際問題研究院のS副院長の推測によると、中米関係には非常に重要な変化が生じる。以前は中国の変化が中米関係における変数だった。しかし今回はかつてない大きさの変化が米国から訪れるという。

また政策研究センター顧問は、中米の政治体系、世界戦略、外交政策、そのすべてにおいて異なっている。双方は相対すればすぐに分岐点に直面する。経済発展段階からすると中米の距離は大きい。世界の生産システム上では両極端に位置している。

これは両極端だからこそ手を握るメリットは大きいという確認だろう。

トランプ大統領は危険か?

トランプ第45代米国大統領は古いワシントン体制の人ではない。就任1週間前となってもまだ内政外交とも予測がつかない。経済領域では、中国産品に45%の追加関税をかけ、同時に為替操作国に認定すると発言している。

中国現代国際関係研究院のE副院長は、中国産品に関税をかけても米国経済に有利になるとは限らない。また為替も中米間の最重要問題ではないと言う。

台湾が問題である。蔡英文総統との電話会談は、この問題の敏感さを改めて際立たせた。トランプ大統領が台湾問題で危険な行動をとるかどうか。これには米国世論も批判的であり、今月の蔡英文中米訪問時の米国立ち寄りでも、米国の反応は抑制的となった。

また米露関係の動向も中米関係、中露関係に影響する。E副院長は、トランプ大統領は米露関係を大幅に進展させる。それは西欧と米国内エリートの反発を呼ぶ。ただし米露関係の発展は中露関係、さらに中米関係にも利益をもたらすだろうと述べている。

台湾で波風を立てず米露関係が進展すれば、中国には何も実害なしと楽観しようとしている。

学界の共通認識

疑惑や争いはあろうとも、両国にとって「平和は共通の勝利、闘争は共通の損失」である。これは中米学会の共通認識である。

米国ハドソン研究所の主任研究員は、トランプ大統領は就任後、中米関係に信頼を置くだろう。選挙戦中のフレーズは「米国を再び偉大な国にする」だった。実はその道は北京へと通じている。米国経済に不足している部分を中国が補う関係だからだ。そして以前にも増して両国の協力関係は増進せざるを得ない。と述べている。

また米国通商代表部の前幹部は、米新政権の不確定要素は外交に集中している。貿易は外交問題ではない。トランプ大統領は就任後、中米の貿易摩擦にしっかり注意を向け、衆知を集め解決に導こうとするはずだ。と発言した。

こうした米国人の発言を援用し、中米関係は平穏と印象付けている。配信された写真は米中共同軍事演習の様子である。

パフォーマンス合戦か

記事は最後にオバマ44代大統領のCBSインタビューを載せている。その中で大統領は、自分の政府は米現代史上もっともスキャンダルの少ない政府であった。後継者のトランプ大統領と彼が任命した要員もその風土に影響されるのではないか。と述べている。上品になるのではという期待である。そしてその政治遺産を破壊しないよう45代大統領に警告したと結ばれている。

中国の心配ごとを一つひとつつぶしていき、「米国よ、これまで通りでいて下さい」と嘆願しているような記事である。トランプ当選以来、中国はあらゆる手段をつくして米国へのアピールを行っってきた。危なっかしい空母「遼寧」の外洋航海もその1つである。ネット空間には実にさまざまな軍事力自慢が飛び交った。なぜか日本の自衛隊まで批判の対象となった。目を覆いたくなる内容も少なくなかった。

すべては中米の1位2位連合による利益を享受するため、中国の片思い「新型大国間関係」を維持したいためである。そのためネット民まで動員し、さまざまな手を打ってきた。いよいよその効果が試されるときが来た。中国はさらにおおきなポーズをとるに違いない。しかしパフォーマンス好きにおいて両者は共通している。

中国がトランプペースにハマってしまう可能性も十分にある。本当に恐れているのはその危険性かもしれない。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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