クレジットカード払い,国税納付,所得税,贈与税
(写真=PIXTA)

インターネットを利用した国税のクレジットカード納付が、2017年1月4日よりスタートした。これまでクレジットカード納税は住民税や固定資産税、自動車税といった地方税に限られていたが、これからは所得税や法人税、贈与税などの国税にも範囲が広がる。

キャッシュレス社会を目指す方策の一環

背景として、政府が掲げる「キャッシュレス決済の推進」がある。内閣官房と各省庁の連名で発表された『キャッシュレス化に向けた方策』によると、政府は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、公共料金を含めたあらゆる支払いの電子化を目指すと明言している。国税のクレジットカード納付はその流れに沿ったものだ。これにより、納付書と現金を携えて金融機関やコンビニエンスストアに出向くのが主な納付方法だった国税が、自宅にいながらのカードでの支払いが可能になる。

なお、国税納付専用サイトである「国税クレジットカードお支払サイト」を制作・運営するのはGMOペイメントゲートウェイ、納税者からいったんお金を預かって国に納付する納付受託者はトヨタファイナンスが担当する。いずれも決済業務や税金の納付代行で実績のある企業だ。

期待できるメリット

メリットは何といっても納付方法の選択肢が増えることだ。従来の納付方法は①金融機関・税務署・コンビニエンスストアで現金納付、②金融機関の口座振替、③e-Tax(国税電子申告・納税システム)やインターネットバンキングを使った電子納税の3つである。

①は納付先まで出向く必要があり、②は税目が限られ、③は事前手続きが煩雑など、それぞれデメリットがあった。だが、クレジットカード納付が追加されたことにより、利便性はかなり向上しそうだ。クレジットカード納税であれば、場所や時間を選ばず、現金を用意する必要もなく、手続きはインターネットさえあれば簡単で、ほぼすべての税目が対象である。

また、事業経営をされている方なら、資金繰りの面で有利になるというメリットもある。手元の資金が減るタイミングがクレジットカードの引き落としまで時間稼ぎができるためだ。キャッシュが長く手元にある有利性は事業をしていれば周知の事実で、経費をクレジットカード払いにしている経営者も多くはこの点を意識したものだ。

クレジットカードといえばポイントが付くことが最大の魅力だが、これについてはひとつ注意を促したい。というのは、クレジットカード納付に限り、手数料が発生するのだ。最初の1万円までは76円、以後1万円ごとに76円かかる。税込にすると消費税率が8%なら82円だ。納付額1万円に対する手数料が82円なので、ポイント還元率が0.82%以上のカードでないとマイナスになる計算だ。還元率1%以上のカードであればメリットがあるが、平均的な還元率は0.5%程度であることを考慮すると、場合によっては損になるので気を付けたい。

どのようなカードが使えるか

国税納付にはVisa、Mastercard、JCB、アメリカンエキスプレス、ダイナースクラブ、TS CUBICカードの6種類が利用できるので、手持ちのカードの中にいずれかは該当するはずだ。確定申告書など税目と金額が分かるものとカードがあれば、自宅や外出先からも手続きできる。納付専用サイトはパソコンだけでなくスマートフォンからもアクセス可能だ。

法人カードや個人事業主向けのビジネスカードでも使えるのか、JCB法人デスクと三井住友マーチャントメンバーズクラブデスクへ電話調査してみたところ、この2社については「可能」ということだ。納付サイトの手続き画面にはカード番号や有効期限、セキュリティコードを入力する項目はあるが名義人の名前は必要ない。おそらくどの法人カードでも使えると思われるが、念のためカード裏に記載されているカード会社に確認するのが良いだろう。

実は、国税のクレジットカード納付は分割払いが可能だ。税金を一部延滞するのではなく、クレジットカードの支払い方法を分割払いやリボ払いにすることができるのだ。ただしボーナス払いは不可。分割手数料はカード会社の規約通りに発生する。

国税のクレジットカード納付における注意事項

国税のクレジットカード納付においては、先ほど述べた手数料の件以外にも、以下のような注意点があることを覚えておきたい。

カードの利用限度額を超えて利用できない

国税庁によるとクレジットカード納付ができる金額の上限は1000万円までとあるが、それ以前にクレジットカードの限度額を超えることはできない。一般的なゴールドカードでは200万円から300万円が相場である。高額納税の場合はクレジットカードの限度額がネックになりそうなので気を付けておきたい。アメックスやダイナーズなど、実質限度額無制限なクレジットカードもある。

領収書が発行されない

クレジットカード納付の場合は領収書が発行されない。金融機関や税務署で納付書を持って納税した場合はその場で領収書がもらえるが、クレジットカードはインターネット上で手続きをしたら納付完了のメールが来るだけで領収書はもらえない。請求をすれば納税証明書を発行してもらうことは可能だが、交付が可能になるのは納税してから3週間後だ。すぐに領収書が必要な場合は銀行やコンビニエンスストアで現金納付するしかない。なお、「国税クレジットカードお支払サイト」の手続き完了ページは印刷が可能だ。領収書代わりにならないか用途先にあらかじめ確認するのも手だ。

カード払いは専用サイトのみ

クレジットカードで支払いができるのは、国税納付の専用サイトのみである。金融機関やコンビニエンスストア、税務署の窓口でクレジットカードを使うことはできない。窓口納付はこれまでどおり現金に限られる。

今回新たに施行された国税のクレジットカード納付、感想を述べるなら「惜しい」のひと言だ。地方税に後れを取ったとはいえほぼすべての国税に対応したのは評価できるが、今どきクレジットカード利用者から1%近くも余計に料金を取る民間業者はいないだろう。これで最大のメリットであったポイント付与の得点は打ち消された。

あとはそれ以外にどれだけのメリットを納税者が感じるかである。今年の確定申告まであと2か月足らず、読者の皆さんはどの納付方法を選択されるであろうか。(篠田わかな FPライター)

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)