空室はマンションオーナーにとって最大のリスクです。空室対策のためにできることはいくつかありますが、その一つ「入居者が住みたくなる部屋をつくる」ことは、最重要ポイントと言えます。

賃貸マンションの空室率

総務省が5年おきに実施している住宅・土地統計調査によれば、日本全国の戸建から共同住宅までを含む空き家率は、1963年から一貫して上昇を続けています。 前回調査の2013年では、総住宅戸数6,063万戸のうち13.5%が空き家となっているという結果になりました。共同住宅に焦点を当てて、全体の戸数が2,209万戸(公営のものやアパートなども含む)、そのうち民営の賃貸用住宅の空き家は360万戸で、こちらも増え続けています。

その一方で、不動産鑑定手法による不動産評価システムを提供している民間企業が発表した調査結果によると、首都圏の神奈川や千葉、埼玉などでは空室率が上がってきているのに対して、東京の空室率は下降しており、都心回帰の傾向が見て取れます。 何十年とマンション経営をしていると、まったく空室が出ないということはあまりないでしょう。しかし、なるべく空室が出ないようにして、また空室が出てしまっても次の入居者が入るまでの期間を短くすることが、投資効率を上げるための重要ポイントです。

空室リスク対策として購入時点に考えるべきことは、空室率の推移を踏まえて、東京都内の物件、なかでも利便性の高い立地の物件を選ぶこと、そして、入居者が「住みたい」と思う人気のある間取りや内装・設備の物件を選ぶということです。


新築にこだわらなくなってきた

入居者の多くが気にするのが、物件の築年数です。新しくてきれいなマンションに住みたいと思う人は多いでしょう。ただし必ずしも誰もが「新築」にこだわっているわけではありません。家賃を安く抑えたい人もいるでしょうし、築年数よりも立地や通勤・通学の利便性を重要視する人もいるでしょう。人それぞれで優先順位は異なります。 賃貸の世界でも「リノベーション物件」という選択肢が広く知られるにつれて、「マンションの建物自体は古くても、部屋の内装に満足できればいい」と考える人も増えてきています。

休みの日はほとんど家で過ごすというような「インドア派」には、部屋の「中」が重要になるでしょう。マンションが古くても、外観はじっくり見ることはないので専有部分がきれいであれば十分という考えの人も少なくありません。 また、すべての人が新しい部屋を求めているわけではなく、持っている家具やインテリア雑貨などとのデザイン的な相性が重視されるケースもあります。たとえば、アンティークが好きな人は、それに合わせやすい内装・デザインの部屋が好まれたりします。

ライフスタイルの多様化で、好まれる部屋も変化

人々の、特に大都市に暮らす人のライフスタイルは、多様化しています。従来、「新築」の人気は圧倒的でしたが、現在は、それぞれの暮らし方や趣味・嗜好や、住居にかけられる予算によって好まれる部屋のタイプもさまざまです。

どこにでもあるビニールクロスにクッションフロアのような内装ではなく、無垢材を多く使った壁やフローリングのナチュラルな風合いの部屋だったり、古材を据え付け家具に使ったヴィンテージ感のある部屋だったり、ありきたりではない自分らしく暮らせるオリジナリティの高い部屋が好まれています。また間取りに関しても、間仕切りを少なくして家具などの配置を自分なりにアレンジしやすい部屋が人気です。

リノベーションで人気の内装・デザインを取り入れた部屋は、見栄えも良く、広告に載せた際にも目立ちます。不動産会社も「決め物件」として積極的に紹介してくれるかもしれません。空室リスクを小さくするうえでも大切だといえるでしょう。(記事提供: REISM

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