機関投資家,個人投資家
(写真=PIXTA)

米国では1月20日、共和党のドナルド・トランプ氏が第45大統領に就任、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱の表明や、オバマケア(医療保険制度改革)の見直しを指示した。その数日前17日には英国のメイ首相が演説し、欧州連合(EU)からの離脱を表明した。米国や英国が何を発言するのかという思惑からリスクオフの動きが進み、日本をはじめとした世界各国の株式市場は下落した。


投資家の中でも存在感が大きい機関投資家

日本株を購入している投資家は主に、個人投資家と機関投資家に分けられる。

株式投資と言うと、富裕層の運用というイメージがあるかもしれないが、最近は数万円程度と少額から購入できる株式が増えたことで株式投資の敷居が低くなり、会社員でも手軽に株式投資を始められるようになった。これが個人投資家と呼ばれる人達だ。

機関投資家はプロの運用集団のことで、日本国内の期間投資家と海外の機関投資家に分けられる。運用する資金規模も大きく、株式市場に与える影響も大きい。生命保険会社や損害保険会社、投資信託会社、年金基金等が機関投資家に当たる。

例えば、投資信託会社は不特定多数の投資家から資金を集めて投資信託を作り、運用を行っている。例えば、JPモルガン・アセット・マネジメントや大和証券投資信託委託、レオス・キャピタルワークス等が挙げられる。上場会社の株式等保有割合が発行済株式総数の5%を超える(5%ルール)と、大量保有者である株主は大量保有者になった翌日から5営業日以内に、大量保有報告書を管轄の財務局に提出しなければならない。

最近は、「ひふみ投信」等の運用を行っているレオス・キャピタルワークスの大量保有報告書が明らかになると、株価の上昇を期待した多くの投資家の買い注文がその株式に殺到するケースが散見されている。

機関投資家の中でも注目したい存在が海外投資家

機関投資家の中でも注目しておきたい存在が、為替市場や日本の株式相場の動きに大きな影響を及ぼしている海外投資家だ。海外投資家とは、外国の年金基金や投資信託、ヘッジファンド、政府系ファンド、買収目的の投資主体等、外国の大口投資家を指す。

例えば、報道等で「オイルマネーの買いが流入~」等の言葉を聞いたことがある人も多いのではないだろうか。アラブ首長国連邦やサウジアラビア等の石油を算出している国が、石油を輸出することで得た収入を元に海外投資に回す公的資金のことを総称してオイルマネーと呼んでいる。

海外投資家が東証第一部の売買代金に占めるシェアは、平均して60%を超えるまでになっている。東京証券取引所が毎週木曜日に発表している「投資部門別売買状況」を見ることで、「買い」と「売り」の金額を把握することができ、その金額の大きさを見れば、海外投資家の売買が日本の株式市場に与える影響の大きさが伺える。

英国メイ首相演説や米国大統領就任式前に、海外投資家が現物は買い越しているものの、先物を売り越している状況がわかる。影響力の大きさを考慮すれば、海外投資家が先物を売り越した状況が株価下落の一因になったとも考えられる。

他には、「外資系証券の寄付き前注文動向」の発表でも、海外投資家の動向を確認することができる。日本の株式市場が始まる前に、外資系証券会社を経由した買い注文と売り注文の数字を発表していて、「外資系証券の寄付前~差し引き~いくらの株数が多い」という内容が報道されている。

海外投資家の損益分析は「ドル建て」の日経平均株価

海外投資家が日本の株式を取引した場合、その損益をどう考えたらいいのだろうか?

海外投資家は外貨、例えばドルを売って円を購入して日本の株式を購入する。ドルがいくらのレートの時に円と交換したかが損益の分岐点に影響を及ぼす。海外投資家はドルに換算して株式の価値を考えるため、日本円で見た株式とは違う株価の動きを見ている。

海外投資家の場合は、円高ドル安にドル円が動けば利益が発生するため、株価が下落しても保有株が売却しやすい状況になる。見方を変えると、円高ドル安が進行しすぎている時には株価は高いと考えることができるため、外人投資家にとっては買いにくい状況になる。

海外投資家が日本の株式に投資した場合、株価と為替の動きから総合的に損益を考えるが、その損益の動きを把握できる方法はあるのだろうか?

ドル建(ドルベース)日経平均株価のチャートがある。日経平均株価をドルに換算して表示したチャートのことだ。ドル建て日経平均株価のチャートを活用すれば、海外投資家がどのような視点で日経平均株価を見ているのかを知ることができる。

例えば、円建て日経平均株価は米国大統領選挙が終了した後は、ドル円が円安ドル高に動いたこともあって、株価はおよそ3割も上昇した。一方、ドル建て日経平均株価は円安ドル高に動いたことで大幅に上昇してはいない。

海外投資家が東証第一部の売買代金に占めるシェアは約6割という状況を考えれば、日経平均株価の動きに与える海外投資家の影響は大きい。株価の動きのみならず為替相場の動きで損益が変動しているため、海外投資家が売買動向は常に考えておきたい。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、メルマガ発行、講演活動、株塾を行う。

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