不動産投資の運用方法の一つとして、「民泊」への関心が高まっています。 訪日外国人が年々増え続け、首都圏や全国の観光地のホテル・旅館の稼働率が上昇しているうえに、2020年には東京オリンピックの開催が予定されています。今後の需要も見越して、持ち家や保有するマンションの一室を宿泊用の客室として利用する「民泊」が注目されているのです。

民泊に対する法的な見方の現状と今後

2016年11月、民泊の仲介サービスAirbnb(エアビーアンドビー)は、来日した外国人の1〜10月までのサービス利用者が300万人を超え、過去最高となったと発表しました。同期間中の訪日外国人観光客は2,011万3,000人で、そのうちの1割前後の人がAirbnbを通じて民泊サービスを利用した可能性があるとしています。

しかし民泊は、一部の国家戦略特区に指定されている区域(東京・大田区など)で営業されている、旅館業法で定められた「簡易宿泊」の許可を得ているなどという基準がありますが、この基準を満たさず「旅館業法」に抵触する民泊も多数存在すると見られています。 旅館業法の定める旅館業とは、要点をまとめると以下となります。

  1. 宿泊料金を設ける
  2. 寝具を使って宿泊させる
  3. 継続して宿泊者を募集して営む業

これらの条件に当てはまる場合、管轄する都道府県知事の許可が必要となります。しかし、Airbnbのようなサービスを通じて増えている「民泊」は、常に宿泊客を募集しているわけでも、宿泊させているわけでもなく、明確に「営業」とは言い切れないことなどから、グレーゾーン扱いとなっているのが現状です。

民泊運用のメリット・デメリット、課題

不動産投資として「民泊」を考えた場合、その収益率の高さがメリットとして挙げられるでしょう。部屋を貸す立場から見ると、民泊のほうが、通常の賃貸よりも収益率が高く運用できる可能性が高いのです。通常ならば、月の家賃が9万円の物件を、民泊では1泊1万2,000円といった宿泊料で貸すことができます。これなら15日(泊)の稼働で18万円となり、そこから清掃やWebサービスの利用料などを差し引いても、賃貸より利益率が高くなる可能性があります。

一方で、デメリットは法律の問題です。宿泊料を設けて寝具を使って宿泊させているという点で、民泊は旅館業と言えるでしょう。ただし、現状でこそグレー扱いですが、2020年の東京オリンピックを見越して、国としても海外からの観光客誘致に影響力がある民泊を一部認めてもよいのではないかという意向があります。その流れで、先に触れたような国家戦略特区が設けられ、宿泊日数や施設などに関する条件付きで民泊が認められるようになっており、今後も規制は緩和される方向にあると言えます。

またもう一つのデメリットとして、マンション一棟のオーナーでないと民泊としての運用が難しい可能性が高いことが挙げられます。マンションの区分所有の物件を貸すことが、管理組合の規約により不可とされるケースが急速に増えてきています。

ローンを組んで物件を購入した場合も注意が必要です。金融機関は、対象不動産の利用目的を「住居」と判断していますが、民泊の場合は「事業」と見なされて、より金利が高く期間も短いローンにするべきだと判断される可能性があります。その場合は、ローンが組めなかったり、期待したほどの利回りが上がらなかったりして、収益性が大幅に下がることになるかもしれません。


リノベーション物件が民泊で有利な理由

民泊利用者は基本的に、通常のホテルでは得られないような宿泊体験を求めています。そうした旅行者に向けて、リノベーションを施したデザイン性の高いユニークな物件は、稼働率をアップしてくれるはずです。

和室や、和のテイストを盛り込んだ内装も、外国人には人気です。 宿泊客で多いパターンは2、3人のグループと言われており、1LDK程度の物件が適しています。通常はベッドルームにベッドを2つ置き、必要に応じてリビングに簡易ベッドを用意すれば、3名の宿泊も可能です。 いずれにせよ、民泊に関しては国による法整備の行方など、今後の動向に注視が必要です。(記事提供: REISM

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