「マイナス金利」導入などの金融緩和によって、これまでハードルの高かった不動産投資ローンが借りやすくなっています。資産家に対してアパート・マンションなどの新築提案は増える一方、金融機関の審査基準や融資枠も見直されていて、総じて借り手側に有利になっているようです。
投資物件は過熱感、金融機関の積極姿勢も
都心の投資物件については、過熱感が指摘されています。デベロッパーやファンドが資金調達して積極的に投資した結果ですが、不動産価格が上がって表面利回りが下がっても、調達コストが下がっていることで、実質利回りは維持できます。こうして、ファンドなどは優良物件を仕入れ、転売してはまた仕入れるといった状況が続いているのです。
日銀によると、2016年4~6月期の新規貸出額は前年同期比22.0%増の3兆1,271億円に達しています。これは、バブル期の1989年の記録を27年振りに更新し大きなニュースとなりました。 不動産投資に重要なローン金利の引き下げには限りがありますが、資金の運用先に困っている金融機関は多く、各行それぞれの融資目標額を達成するためアパートローンなどの貸し出し競争まで出ています。
住宅ローンと不動産投資ローンは違う
ここで押さえておきたいのは、住宅ローンと不動産投資ローンの違いです。住宅ローンは「個人が住むための物件購入」に対して融資を受けるのに対して、不動産投資ローンは「投資用ワンルームマンションやアパート一棟の新築など投資事業」に対する融資となります。 融資の目的が違うため、審査基準や貸付枠などが当然異なってきます。
住宅ローンは、本人の年収や勤続年数など返済能力が重視されますが、不動産投資ローンは事業の採算性や継続性などが求められます。 サラリーマンや公務員など、一般的に収入が安定していれば住宅ローンは通りやすいといえます。
審査では、年齢、勤続年数、年収などが対象となります。多くの人は、退職するまでに何年間の返済余裕年数があるか、勤続年数はどれくらいかという点が重要となります。 一方、金融機関にとってリスクの高い不動産投資ローンは審査が厳しく、金利も住宅ローンに対して高くなります。
住宅ローンがあっても融資は可能
サラリーマンが住宅ローンの支払いを抱えていても、新たにこの投資用の不動産投資ローンを受けることはできるでしょうか。 結論から言うと、これは融資を受ける人の信用次第です。もちろん住宅ローン以外の負債がないほうが良いでしょう。
しかし「信用」は、クレジットカードの使い方にも表れます。 例えば予定外の急な出費が出たときに利用できる、クレジットカードのリボ払い。月々の支払いが少ないというメリットがあるものの、使っている感覚が鈍くなり、限度額一杯まで使ってしまう危険もあります。クレジット会社は顧客の支払い状況等を信用情報機関に登録していますので、直接的ではないにせよ「信用」に関わります。
一方、不動産投資ローンの審査基準は、建物の耐用年数による融資可能額や担保の評価による融資限度額、キャッシュフローの算定方法などに分けられます。一般的な投資用ローンの限度額は借入比率が35%程度、限度額にすると年収の6倍前後と言われています。具体的にサラリーマンだと、年収500~700万円以上が銀行から融資を受ける場合の条件となります。 このため投資用ローンを利用する場合、比較的利回りの大きい物件を選択するか、頭金を多めに入れて、ローンの返済を少なくしておくのが賢明です。
審査基準について、ローンを利用した経験者は「ほとんどの金融機関の審査基準は同じようなもの。本店で断られても支店で通ったケースもあり、自身の信用を高めることが重要」と話しています。(記事提供: REISM )
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