退職金を受け取る際に支払わなければならない税金にはどのようなものがあるのか、いざとなって慌てないためにも基本事項を押さえておくと安心感を得られる。 高額となる退職金を受け取ったときに行う必要がある手続きについても税金関連の知識と併せてぜひ知っておきたい。税金の仕組みや計算式に就いての理解が深まれば、自分のケースと置き換えて考えることができる。また退職金からさらに税金が還付されることもある事例についてもまとめてあるので参考にしていただきたい。

目次

  1. 退職金は確定申告しなくてはいけないのか?
  2. 退職所得の受給に関する申告書とは?
  3. 退職金にかかる税金とは?
  4. 退職金にかかる税金の控除額は?
  5. 事前準備を怠らない

退職金は確定申告しなくてはいけないのか?

一般的な場合では退職金は既に源泉徴収が完了した金額が支払われることとなる。つまり原則として確定申告の必要はないのが通常だ。 しかし退職金を受け取る際に大切な申告書類(退職所得の受給に関する申告書)を勤務先・会社などへ提出していない場合には確定申告を行わなければならない。この時、課税される税率は退職金に対して一律20.42パーセントとなる。この高い税金には扶養家族や「復行特別所得税」さらに「保険料控除」などをは加味されていないので確定申告のときは一つ一つを申告して適正な税金が戻るよう自分で対応する必要がある。 さらに「配偶者特別控除」についても注意しなければならない。「配偶者特別控除」は所得が1000万円以下の場合が対象となっている。したがって退職金を含めた所得が1000万円を超えてしまうと、「配偶者特別控除」は適用外となるので確定申告によって控除された金額にかけられる税金を支払う必要が生じるのだ。 また年の途中が退職月となる方などは所得が少なくなることが多いので退職金の確定申告を行うことで税金の還付対象となることもぜひ知っておきたい。

退職所得の受給に関する申告書とは?

退職金に関わる重要な書類として「退職金の受け取りに関する申告書」がある。 この申告書は書類の形式上税務署長宛、もしくは住民税納付地の市町村長宛とされることが多いが、実際には勤務先への提出となるので注意したい。退職予定者本人が記入にあたることとなる。所定の記入形式が定められているので経理(または担当者)へ確認のうえ、間違いがないよう記入していきたい。 特に気をつけたいポイントとして「住所は住民票の記載にある通りに記入すること」が挙げられる。居住にあてている住所と住民票の内容が異なるケースは意外と身近な事柄となる。思い込みに頼らず丁寧に記入していくことが重要となる。また入社年などもあやふやな記憶となっているケースの代表例である。可能な限り勤務先の記録と照合しながら「退職所得の受給に関する申告書」の記入作業にあたればスムーズだ。 「退職所得の受給に関する申告書」は退職金を受け取る前に会社・勤務先へ提出することとなっている。この申告書を提出しなかった場合には課税計算の用いられる税率が大きく異なるのでくれぐれも忘れずに提出するようにしたい。

退職金にかかる税金とは?

退職金にも所得税や住民税といった税金は課せられることとなる。 所得税の場合には「超過累進税率」が用いられる。この点においては通常の所得と同じ方式となっている。課税される所得金額が1800万円超の場合は40パーセントの税率が、また900万円を超え1800万円以下の所得金額なら33パーセントもの税率が課せられることとなる。 この高い税率に驚かれる方も多いかと思われるがさほど心配する必要はない。ここでの「所得金額」は退職金から退職所得控除額を差し引いた金額の事を指しているので多くのサラリーマンの場合はこれほど高額な税率を負担するケースは稀であるのだ。なお住民税は退職所得控除額に退位して一律10パーセントが課税されることとなる。 ただ、退職金に課せられる税金も増税の対象となる場合があるので自分がもらう年度が対象となる法改正などにも注意を向けていきたい。ちなみに平成25年から平成49年の間は「復行特別所得税」の増税期間とされているので従来の所得税額にさらに2.1パーセント加算されることとなっている。

退職金にかかる税金の控除額は?

退職金に課税される税金は勤続年数で「退職所得控除額」の計算方法が変わるので、この点もチェックしておきたい。 勤続年数が20年未満の場合は「退職所得控除額」の計算式は【退職金総額(40万円×勤続年数〔80万円未満の場合は80万円とする〕)×0.5】となる。この計算式で算出された部分が課税対象となるのである。 対して勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額は【{800万円+70万円×(勤続年数20)}×0.5】で算出される。 ここでの注意点は病気や怪我により障がい状態となったことが退職の起因となる場合には退職所得控除額は100万円加算した金額となる。また前年よりも前に退職所得を受け取った人や同年に2ヶ所以上から退職金を受け取ったときなどは控除額の計算方法が違ってくる場合がある。いずれにしても自分が受け取る大切な退職金なので「人任せ(経理任せ)」にせず、しっかりと細かな点まで把握しておくことが大切となる。

事前準備を怠らない

退職金は大きな資産となるとともに人生の次のステップへと進むための重要な足がかりでもある。必要な情報を踏まえてしっかりと受け取りたい。また確定申告などの手続きを怠らずに適切な納税をし、そのうえで利用できる制度は充分活用して税金を還付してもらうことも大切なことである。わかりにくいことは勤務先のほか、税務署や金融機関の窓口などその分野のプロに相談して納得がいくように準備しておくことも有効なプロセスである。(ZUU online編集部)