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(写真=kurhan/Shutterstock.com)

リタイア後の生活を考える時に心配なのは、公的年金だけで安心して暮らせるのかということです。もし、将来の年金額と実際にかかる老後資金がかけ離れているなら、不足分を自分で準備する必要があります。そこで、老後にもらえる年金や必要な老後資金、そして、老後のお金を自分で準備する方法についてご紹介しましょう。

老後にもらえる年金を確認しておこう

将来受け取ることのできる公的年金の額は、加入している年金制度や加入年数、年収など個々の状況によってかなり変わります。まずは、毎年の誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」を確認してみましょう。

ねんきん定期便には特定の年齢を除き、過去1年分の加入記録が記載されていますが、最新の見込み額や過去の加入記録など詳細は、日本年金機構が提供する「ねんきんネット」を確認する必要があります。ちなみに、現在の年金受給者の平均年金月額は、2014年度で国民年金が5万4,414円、厚生年金が14万4,886円となっています(厚生労働省年金局「平成26年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)。

老後に必要な資金はいくら?

実際の老後生活に必要な資金は、現在リタイア生活を送っている高齢無職世帯の生活費を参考にしてみましょう。総務省の「家計調査報告(家計収支編)-平均速報結果の概況(2015年)-」によると、高齢夫婦無職世帯(世帯主が65歳以上)の1カ月の支出は、消費支出が24万3,864円、税金や社会保険料などの非消費支出が3万1,842円、合計して27万5,706円となっています。生活コストは人によって違いがありますが、標準的な老後生活を送るための生活費は、1カ月あたり27万円ほどと考えられます。

老後生活が25年間続くとすると、「27万円×12カ月×25年=8,100万円」となり、公的年金などの社会保障給付だけでは不足する分を自分で用意しておかなければいけません。たとえば、上記データによると高齢無職世帯の1カ月の実収入は21万3,379円、不足分は6万2,326円となっています。月々の不足が6万円とすると、25年の老後生活では「6万円×12カ月×25年=1,800万円」となり、この金額を自力で補う手立てが必要なのです。

老後の年金準備に個人年金保険

老後資金を準備する方法の一つとして、個人年金保険があります。個人年金保険とは、将来受け取る年金を積み立てるための保険です。大きく3種類あり、最も一般的なのは「確定年金」といって決められた期間だけ年金が受け取れる形式です。たとえば、60歳から75歳までの15年間、年金を受け取るというようなものです。期間は5年、10年、15年と規定されているものが多く、受取期間中に被保険者が死亡したとしても受取人もしくは遺族が年金もしくは一時金として受け取ることができます。

「終身年金」は名前の通り、生きている限り一生涯年金を受け取れる形式です。保証期間のあるものとないものがありますが、あるものは被保険者が保証期間中に死亡した場合には、受取人もしくは遺族が年金もしくは一時金として保証期間分の金額を受け取ることができます。ただし、保証期間終了後は年金の受取ははなくなります。保証期間のないものは、被保険者が死亡した段階で年金の支給がなくなります。

「有期年金」は、確定年金と同じで決められた期間だけ年金が受け取ることができ、被保険者が存命である限りは契約の際に定められた期間まで年金を受け取ることができます。保証期間があるものは、期間中は本人の生死にかかわらず年金を受け取ることができますが、死亡した場合は受取人もしくは遺族が、保証期間分の金額を年金もしくは一時金として受け取ることになります。保証期間がないものもあるため、注意が必要です。

個人年金のメリットは、保険料を支払ったあとは、払込保険料相当額を受け取れるものも多く、計画的に老後の資金準備として活用できます。商品によって異なるため、確認は必要になります。また、一定の条件を満たす必要はありますが、「個人年金保険料控除」の対象となり、節税効果も期待できます。

老後資金を今から増やす方法

保険のほか、節税効果を優先させるなら、確定拠出型年金の活用がおすすめです。また、いずれの方法を選択するにしても、50代、60代で老後までの期間が長くない場合、できるだけ安全資産で運用していきましょう。投資信託で運用しているなら、価格変動の大きい株式の比率を下げて債券の比率を高めるなどして、将来の受取額を減らさない工夫が必要です。

早い段階から確保しておきたい老後資金ですが、思い立った時から準備を始めれば、遅すぎるということはありません。まずは将来受け取れる公的年金の金額を確認し、どのような老後生活を送りたいか、、そのためにはいくらかかるのかを計算してみましょう。