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(写真=PIXTA)

中小企業にとって資金繰りは何よりも重要です。資金不足に陥ると仕入れや商品開発、経費の支払いなどが滞ってしまいます。経営活動が鈍化するだけでなく、経営の根本に関する予想外の事態にもつながりうるため、資金調達の方法についてあらかじめ考えておく必要があります。資金調達の方法として代表的なものが借り入れですが、借り入れにはさまざまなリスクがあります。今回は、中小企業が借り入れをする際に覚えておきたいリスクについて解説します。

借り入れとは?出資の受入れと何が違う

資金調達の方法には大きく分けて借り入れと出資の受入れがありますが、この2つを対比することで、借り入れの特徴をより理解することができます。

借り入れと出資の受入れの大きな違いは、返済の義務の有無です。銀行など金融機関からの借り入れは、金利分を上乗せして返済する義務が発生します。会社の信用度や借り入れ金額によって、返済額や金利が変動しますが、その金額によっては資金繰りの負担になるリスクがあります。これに対し、出資の受入れには返済の義務が発生せず、出資者には利息ではなく配当などで還元する形が一般的になります。

また、経営への関わり方に違いがあります。出資を受ける場合は、出資者に対価として株式を譲渡することになります。譲渡する株数によっては、株主総会での議決権を行使できるため、経営権の一部を出資者が得ることになります。一方で、借り入れは企業の信用力に基づいて行われるもので、元本から得られる金利を対価としているため、貸付人が直接的に経営に関わることはありません。

中小企業が借り入れを行う際のリスク

中小企業が借り入れをする場合、どのようなリスクがあるのでしょうか?借り入れをする企業におけるリスクをご説明します。

借り入れを行うと、金利分を上乗せした金額を返済することになります。金利の額によっては企業の資金繰りを圧迫するリスクがあります。金利は企業の信用力や借入期間によって変動します。例えば、日本政策金融公庫から貸付期間10年間で借り入れをする場合は、年利1.21%程度になります。なお、担保の有無によっては金利が高めに設定されることもあります。借入期間が長期にわたるほど金利が高くなり、返済が滞ると損害遅延金が発生します。

返済が滞ると債権者から督促を受け、最悪の場合、民事裁判などの訴訟問題に発展します。裁判所の判決次第では会社の財産を差し押さえられることもあり、会社の預貯金や不動産などを失ってしまうリスクがあります。また、借りたお金の返済が出来ない企業として、社会的信用を失うことになります。そのため、借り入れをする場合は必ず金利を踏まえた返済計画をたて、その計画通りに返済していくことが求められます。

中小企業に貸付を行う側のリスク

では逆に、中小企業に貸し付けを行う側のリスクを見てみましょう。

貸し付けを行うと、元本に金利分を上乗せした金額を返済してもらう権利があります。しかし、対象企業の与信管理を徹底しないと、返済が計画通りに行われない状況に直面したり、自己破産によって返済を受ける権利が消滅したりしてしまうリスクがあります。また、支払いが滞った場合は督促や取り立てをしなければなりません。それでも相手が支払いに応じない場合は、弁護士を雇うなどして法的な対処によって解決を目指していくことになります。貸付金の貸し倒れリスクと、資金を回収するためのコストが貸付側のリスクとなります。

借り入れのリスクを正しく知って、賢く資金調達しよう

以上のように、中小企業が借り入れをして資金調達をすることにはリスクもあります。資金調達の方法として借り入れを検討する場合は、金利分を含めた返済額が資金繰りの負担とならないように、長期的な視点で考えておく必要があります。借り入れのリスクを正しく知った上で、賢く資金調達をしていきましょう。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)

※当記事は2017年1月現在の情報に基づき制作しております。最新の情報は各関連ホームページなどをご参照下さい。