病気やケガ、出産などで、自分や家族、友人が入院したことがある人は多いでしょう。入院してみて、思いのほか費用がかかった人もいるのではないでしょうか。
今回は、公的な医療保険を使える範囲と、差額ベッド代などの出費を考えた民間の医療保険への加入メリットを説明します。
差額ベッド代は公的な医療保険でカバーできる?
入院時に公的な医療保険が使える範囲は、手術費や治療費、食事代の一部、基本のベッド代です。この中で、患者の意思で選ぶことができる代表的なものは「ベッド」でしょう。公的な医療保険を使う場合、多くは6人部屋(部屋に6台のベッドが置かれていること)などに入院します。しかし、部屋に他の人がいると眠れない、プライベートな空間が欲しいなどの患者の希望に応えるために、病院などでは基本ベッド代との差額を払うことで利用できる特別療養環境室(特別室)という部屋を用意しています。この特別室を利用することを、一般的に「差額室料」「差額ベッド」などと呼びます。
部屋は「一病室の病床数が4以下であること」「病室の面積が一人当たり6.4平方メートル以上であること」「病床のプライバシーを確保するための設備があること」「少なくとも個人用の私物の収納設備、個人用の照明、小机や椅子といった設備があること」の4つの要件が、厚生労働省の特別療養環境室のガイドラインで決まっています。利用に当たっては、入院する人が自ら希望して同意の署名をしますが、差額ベッド代(差額室料)は自己負担です。つまり、差額ベッド代は公的な医療保険ではカバーできないということです。
入院時に自己負担になるのはどんな費用?
入院時の手術費や治療費、食事代の一部、基本のベッド代は公的な医療保険でカバーできますが、入院には公的な医療保険ではカバーできないさまざまな出費があります。差額ベッド代(差額室料)を除いた一例を紹介します。
・ 交通費
家族がお見舞いに来るときの交通費です。
・ 入院時の食事代の一部
入院時の食事代は公的な医療保険で一部支払われますが、自己負担分もあります。2016年4月から一般の人は1食につき360円を負担しています。
・ 先進医療費用(技術料)
先進医療を選択したときの技術料は、自己負担です。
・ 雑費(テレビ・雑誌、パジャマなど)
ベッドサイドにあるテレビは有料のため、見るためにはプリペイドカードを購入するなどします。料金は病院により異なります。また、パジャマやティッシュなどの日用品への出費もあります。
入院給付金日額はいくらが理想か
では、入院にはどのくらいお金がかかるのでしょうか。
生命保険文化センターが行った2016年度生活保障に関する調査によると、1日あたりの自己負担金額は1万9,800円です。内訳は、1万〜1万5,000円が24.5%と一番多く、2万〜3万円未満と答えた人も14.1%いました。思いのほか「入院にはお金がかかる」ということがイメージできるのではないでしょうか。
では、入院に関してどのくらいお金を準備すれば安心できるのでしょうか。民間の医療保険に加入する際の入院給付金の金額は、自己負担金額全部を用意するというより、差額ベッド代と食費を足して余裕があるレベルのものを選ぶと良いのではないでしょうか。
差額ベッド代は、厚生労働省の調査結果(2015年7月1日)によると、1人部屋(個室)~4人部屋の差額ベッド代の1日平均額は6,155円でした。
このほかに、食事代(360円、1日3食の場合1,080円)×日数が自己負担分と治療費、消耗品や交通費などがかかります。
入院時の費用は事前にしっかり把握しよう
・ 入院は手術費や治療費、食事代、ベッド代などがかかる
・ 公的な医療保険でカバーできるものは、手術費や治療費、食事代の一部、基本のベッド代
・ 差額ベッド代(差額室料)とは特別療養環境室というプライベートな空間が広い部屋のこと
・ 差額ベッド代は自己負担
・ このほかの自己負担には、交通費、食事代の一部、先進医療費用、雑費など
・ 入院給付金日額の理想は、特別室の平均差額ベッド代と食費を足した金額+α
入院給付金ですべてをまかなうという考えではなく、一部を用意するという気持ちで入院給付金日額を選ぶのも一つの選択です。(提供: 保険見直しonline )
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