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(写真=kosmos111/Shutterstock.com)

インターネットを通じて融資を募る「クラウドファンディング」が注目を集めている。今回は、そのなかでも「投資型クラウドファンディング」にフォーカスし、貸金業を利用した小口化スキームを利用したサービスについて解説する。

クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、製品の開発やイベント、サービスを実現するための資金を必要とする企業(もしくは人)と資金提供者(企業もしくは人)とをインターネットを介して結びつける融資仲介サービスのことである。クラウドファンディングの代表的なものは、ソーシャルレンディングとも呼ばれ、幅広い分野での資金や協力を集める方法として注目を集めている。

このクラウドファンディングは、大きく3つに分けることができる。融資の見返りに金銭的なリターンを求める「投資型」、サービスや商品に対価を支払うことで支援を行う「購入型」、そしてリターンを期待しない「寄付型」だ。これらのうち「投資型」は、さらに「マーケット型」「オークション型」の2つに大別される。

「マーケット型」では、サービス運営会社が企業を審査し、借り手となる企業や個人の格付けを行う。貸し手である資金提供者は、その格付けをもとに、金額や金利を決めるという流れだ。「マーケット型」と呼ばれるのは、資金提供者がどれほどのリスクを許容し、どれほどの利回りを希望するかによって金利が変動するためである。

「オークション型」では、借り手となる企業や個人が目的や自らの信用度などをアピールし、貸し手である資金提供者がそれらをもとに投資するか否かを判断する。利率の決定はオークション形式で行われ、最も安い利率で入札した資金提供者が貸し付けの権利を獲得する。なお、オークション型は現在、日本ではあまり浸透していない。

貸金業を利用したスキームとは

日本国内では「資金決済に関する法律」や「金融商品取引法」などによって個人間での送金・投資に制限があるため、欧米ほどクラウドファンディングは発展していない。国内で「投資型クラウドファンディング」と言えば、集まった資金を融資仲介サービス運営者が匿名組合の営業者として当該企業に対して融資し、返済された元利や配当を資金提供者に配分するという、いわゆる「貸付型」サービスが一般的である。

融資仲介サービスの運営会社が返済を前提とした「貸付型クラウドファンディング」を行おうとする場合、「貸金業」と合わせて「第2種金融商品取引業」の登録が必要となる。つまり日本国内の「投資型クラウドファンディング」の多くは貸金業のスキームに基づいて行われているというわけだ。

借り手となる企業は一般的に、希望額と企業情報・事業計画を融資仲介サービスの運営会社へ開示する必要があり、保証人・担保が必要なケースもある。運営会社は開示された情報をもとに企業を審査し、資金提供者に案件紹介を行う。マーケット型は、貸金業のスキームに基づいた日本版クラウドファンディングと言えるだろう。

メリットとデメリット

「投資型クラウドファンディング」の資金提供者にとってのメリットは、まず少額での投資ができることが挙げられる。最低投資金額が10万円前後に設定されていることも多い。また、銀行預金金利とくらべて利回りが高いのも特徴だ。

一方、融資先の企業の事業が行き詰まり、貸し倒れのリスクを抱えることになる。元本保証ではないことには注意が必要だ。また利回りはあらかじめ決定されているので、利回り以上の収益になることがない(キャピタルゲインがない)こともおさえておきたい点だ。

インターネットで金融ビジネスに革命か

注目を集めているクラウドファンディングのなかでも「投資型クラウドファンディング」に焦点を当ててサービスの内容について解説してきた。今はまだクラウドファンディングの黎明期といったところで改良点も多いものの、クラウドファンディングのように、インターネットを使って資金調達の効率化や低コスト化を実現しているサービスには利点も多い。今後の金融ビジネスに革命をもたらす可能性を秘めていると言えるだろう。(提供: みんなの投資online

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