(写真=エコスタイル)
(写真=エコスタイル)

太陽光発電の販売、施工を手がける株式会社エコスタイル。その社長・木下公貴氏に経営、事業、太陽光発電への想いを聞いた。(聞き手:ZUU online編集部 菅野陽平)※インタビューは2017年2月9日に行われました。

——現在、貴社はどのような事業を展開されているのでしょうか。

当社は太陽光投資をメイン事業として、お客様にご提供しています。それに加えて太陽光発電投資の「エコの輪ファンド」、電力供給の「エコスタイルでんき」といった事業を行っています。

——今でこそ業界大手ですが、創業当初は苦難の連続だったと伺いました。

2008年3月に勤めていた会社が廃業となり、そのときの仲間たち十数人と一緒に、エコスタイルの前身の企業へ移りました。しかし、早々に経営難に陥り、その年の11月、創業者から経営権の譲渡を受け、代表取締役に就任しました。

前職の少ない退職金を集めて事業を開始したので、最初からお金のない会社でしたね。そんななか、オール電化を販売するビジネスを始めたわけですが、本当にお金がなく、1週間先すら全く見えない状況だったんです。私の仕事は、どうやって資金を回すか、あらゆる金融機関を回って金策に走りました。どこの金融機関も貸してくれなかったですが。

メインの銀行口座が338円になったこともありますね。「もう、さんざんや」と(笑)。今だから笑い話ですが、これは本当の話です。ただ、あのとき簡単に融資を受けることができていたら、今のエコスタイルはないと思います。そのような意味では、あの頃の苦労や苦悩が糧になったと感謝しています。

——そのときはどのような心境でしたか。

もう、とにかく寝ても起きても資金繰りのことを考えていましたね。とにかくお金がない。でも支払いは来る。おかげで優先順位をつける術を学びました。優先順位を間違ったら倒産ですので。資金繰りに関わらず、経営ってそういうものだと思っています。やらないといけないことは無数にあるなかで、優先順位をつける。その判断が大事です。

——そのような難局から、ここまで会社が成長した理由はどこにあるとお考えでしょうか。

色々な要因があると思いますが、やはり一番は、創業メンバー全員に元気と情熱があって、本当に仕事が大好きで、お互いに信頼関係があったというところです。あいつも頑張っているから自分も頑張らないといけない、自分の職責を果たさないといけないという一人ひとりの想いがあったからこそ、今に繋がったと思っています。

ビジネス上の転機は2009年でした。私たちはオール電化の電話営業が中心だったのですが、2009年から住宅用太陽光の補助金が出ることになり、それならばと太陽光設備の販売を開始しました。

それも今までの電話営業中心ではなく、自前で何とかホームページを作ってWeb集客をメインとしました。私たちは、Web集客で後発組だったので、自社施工とか、小売価格を安くするためにひとつの商品に絞って集中的に売っていこうとか、20年間に渡って安心ができる保証を提供しようとか、そういう施策をどんどん打っていったわけです。

私たちが欲しい製品・サービスを欲しい価格で売るという他社との差別化でやっていったわけですが、サービス内容はどんどん膨らんで、でも販売価格はがんがん下がって、最初は本当に苦しかったですね。それでも、何とか社会に受け入れてもらえるためにはどうしたらいいか、みんなが苦労や工夫を重ねたことで、現在のように安定した経営を作ることができました。

——太陽光という新しい事業、しかも販売方法は今までとは違うWeb集客。戸惑いや迷いはなかったのでしょうか。

迷いはなかったですね。「社会における存在意義がある会社になるためにはどうしたらいいか」という軸がありましたので。地球温暖化問題や再生可能エネルギー活用が叫ばれる昨今、太陽光投資は間違いなくお客様のため、世のため人のためになります。

もちろん苦労は多かったですよ。相変わらずお金がなかったので、私がソフトを買ってきて、自分でホームページを作りました。最初は他社のホームページを参考にしながら、見よう見まねで。本当に藁にもすがる想いでした。明日の集客のために、会社の床にダンボールを敷いてよく寝ていました。

——そのような苦境を乗り越え、今はどのような心境で経営されているのですか。

食べていくためという視点から、会社として永続するために社会における存在価値を提供し続ける会社であるためにどうあるべきかという課題に日々取り組んでいます。もちろん営利企業なので、利益も大切なのですが、この原点からぶれてはいけないと、常に自分に言い聞かせています。

仕事を通じてお客様に喜んでもらったり、楽しんでもらったり、幸せを感じてもらったりする仕事は限られていると思っています。一緒に働いている仲間には、そのような仕事をしてほしい。それが結果的に社会に貢献することに繋がります。

社員に常日頃伝えていることは、人間の幸せを求めていくなかで、仕事の時間は一定時間あるわけですから、やっぱり仕事で幸せを感じないと、人として幸せになれない。私の価値観を無理やり押し付けるつもりはないんですけど、仕事でも幸せを感じてほしいと心から思っています。 そのためにも仕事における壁・課題に挑戦し、 乗り越えるまで努力してほしい。

——最後に、太陽光発電の未来について教えて下さい。

温室効果ガスの排出量を削減しなければいけないという大きな課題のなかで、一昨年12月世界中の首脳が集まり、全世界が一丸となって温暖化に立ち向かうパリ協定が締結されました。しかし、そのソリューションは、現実的に再生可能エネルギーの普及しかない。世界の人口が増え続けるなかで、消費エネルギーを減らすことは難しいですからね。

その再生可能エネルギーのなかでも、太陽光発電が爆発的に普及した理由は、一番参入障壁が低いエネルギー源だからです。バイオマスや水力、地熱、風力といったものは参入障壁が高いので、なかなか普及しない。従って、地球温暖化問題の解決のためには、現状では現実的に、太陽光発電の更なる普及が不可欠だと考えています。

電気を貯めておく蓄電池も技術革新でどんどん単価が安くなっています。蓄電池が普及したら、太陽光発電自体も24時間電源になれます。私たちは、この太陽光投資をお客様にメリットがある形で普及させ、永遠のメジャー投資として育成することを常に考えています。それが当社の使命でもある「子供たちのため、次世代のために環境を守る義務と責任を遂行する」ことに繋がっていくと信じています。