慰安婦像,駐韓日本大使,日韓関係
(写真= Aleksandar Mijatovic /Shutterstock.com)

駐韓日本大使が不在となって1カ月以上が経過した2017年2月17日、20カ国・地域(G20)外相会合に出席するためドイツ・ボンを訪問した岸田文雄外相は、韓国の外相に相当する外交部の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官と会談した。

慰安婦像の撤去を求めた岸田外相に対し、尹長官は最大限の努力を引き続き行っていくと約束。両国関係が困難な時ほど外交当局間の意思疎通が重要として日本大使の早期の帰任を訴えたが、駐韓日本大使の帰任時期は話し合われなかったという。

2015年12月28日、岸田外相と尹外相は、ソウルで開かれた日韓外相会談後の共同記者会見で、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認すると発表した。日本政府は、韓国政府が元慰安婦を支援する目的で設立する財団に一括で資金を拠出し、韓国政府と協力して元慰安婦の名誉と尊厳の回復,心の傷を癒やすための事業を行うことを表明。韓国政府はソウルの日本大使館前の慰安婦像が適切に解決されるよう努力すると約束した。

全権大使の一時帰国

日本政府は合意にもとづいて2016年8月31日に10億円を送金した。韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」は合意時点で存命だった46人に各1億ウォン(約970万円)を支給し、合意以前に死去した199人は遺族に2000万ウォン程度を支給することを決めた。2016年12月までに受け取りを表明した元慰安婦34人と遺族35人に現金を支給、または支給に着手している。

合意から丸一年となる2016年12月28日、釜山の市民団体が日本総領事館前の歩道に慰安婦像を設置した。道路を管理する釜山市東区はすぐさま像を撤去したが、30日に一転して設置を許可し、日本政府は対抗措置として長嶺安政駐韓大使と森本康敬釜山総領事を一時帰国させた。駐韓大使の一時帰国は2012年8月に当時の李明博大統領が竹島に上陸したことを受けて以来である。

大使不在が長期化

大使の主な仕事は4つある。韓国政府との外交交渉、政治経済などの情報収集や分析、韓国に滞在する邦人の保護、日本を正しく伝える公報文化活動である。

韓国に在外届けを提出している日本人は2015年10月1日で3万8060人、2016年の訪韓日本人は229万7893人である。邦人の保護は日本大使館領事部、釜山総領事館、済州総領事館が担っている。在韓日本人に差し迫った危険はなく、大使不在による影響は少ない。公報文化活動も公報文化院が行なっている。

朴槿恵大統領は2016年12月9日に国会の弾劾議決を受け、憲法裁判所の判決がでるまで首相に相当する黄教安国務総理が代行している。大統領に権限が集中する韓国では国務総理の権限は限られ、外交は進展しない。

裁判の行方、判決にかかわらず1年以内に新たに就任する次期大統領選の動向を探る情報収集、政財界との人脈構築は重要だ。大使館関係者によると、長嶺大使とはメール等で指示を仰ぎながら、臨時代理を務める鈴木公使のもと、大使不在の長期化に対応する体制を整えたという。

韓国外交部は2月23日、釜山市や道途を管理する同市東区に職員を派遣し、像の移転を求める文書を送ったと明らかにしている。(佐々木和義、韓国在住CFP)

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