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法務省の諮問機関

結婚20年以上に住宅贈与認める? 配偶者の遺産相続で初の優遇案

贈与,遺産相続
(写真=PIXTA ※画像はイメージです)

遺産相続はこの数年、相続税や遺産分割など、さまざまな面から見直しが進んでいる。その中で法務省は2017年2月末、結婚20年を過ぎた夫婦について、生前に住宅(とその土地)を贈与された配偶者が財産分与の際に優遇されるとの案を、同省諮問機関の法制審議会に示した。法制部会では多数が賛同していることが分かった。

法定相続分の見直し代替案

この案が法制化されると、該当する配偶者は遺産分与の際に、遺産分割上で住宅(とその土地)の時価相当分があらかじめ控除されることになる。法制化されれば、遺産相続人の贈与分の配分に当たって、配偶者に有利な制度が初めて生まれることになる。配偶者の法定相続分の引き上げは大きな問題であり、法務省はこの問題を今回も実現困難を理由に避けた形である。

元はといえば、法制審議会は2016年6月に、「結婚が長期なら配偶者の法定相続を3分の2」にするとの中間試案をまとめた。この案は結局見送られ、替わって今度の案が浮上したわけだ。このような背景には、高齢化社会が進み、独り暮らしになる高齢の配偶者が増えていることから、その居住権を確保する必要に迫られている事情がある。

一方、離婚率は3組に1組という最近の社会現象を考慮して、円満に過ごしてきた夫婦、特に妻に配慮して、財産分与上の優遇策を与えて、熟年離婚を減らそうという狙いもありそうだ。

親族間の相続争い軽減に?

法務省の案はさらに見れば、遺産相続に当たって、親族同士、特に配偶者と遺産を残す本人の兄弟間の争いを避けるため、あらかじめ法定で比較的孤立しやすく弱い立場の配偶者に配慮することである。生前贈与もしくは遺言の形で、20年以上連れ添った配偶者に住宅(とその土地)を残すことを法制化されれば、財産分与のいざこざはなくなることになる。

相続税法には「夫婦間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」が定められている。今回の法務省案は、相続税法のその考え方を民法に移し替えるものである。相続税法には、その配偶者控除は、20年以上連れ添った夫婦のケースとも明記している。

法制化後の不動産名義変更に問題も

法務省案が法制化しても、解決すべきさまざまな問題が生じる。相続する住宅(とその土地)、つまり贈与側が死亡している不動産の名義変更手続きに厄介な問題が生まれる。また登記費用は?必要書類は?そもそも名義変更に、相続税はかかるのか?……など。

一方、生前贈与された不動産の名義変更の仕方、売買による住宅やマンションの所有権移転の登記、財産分与による住宅(とその土地)の名義変更など、問題は山積している。

税制改正、遺産相続見直しの一環

法務省や財務省は、遺産相続問題の一環として、2017年度税制改正の目玉となる配偶者控除の見直しを進めている。住宅(とその土地)の贈与のほかに、所得税負担軽減のための配偶者控除の見直すことである。

控除対象の世帯主に「年収1120万円以下」の制限を設けること、あるいは配偶者の年収を103万円以下から150万円以下に緩和することなどである。セットになれば、国の税収は減らないというメリットがある。

法制部会は同時に、財産分与の対象に預貯金を含める方向で一致した。これは最高裁大法廷が2016年12月、「預貯金は対象外」としてきた判決を覆し、預貯金も財産分与の対象になるとの初の判断を下したことに対応したものだ。(ZUU online 編集部)

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