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(写真=PIXTA )

農水省は、政府が買い付けた輸入小麦の製粉企業への売渡価格を、4月以降4.6%引き上げると発表した。輸入小麦の政府売渡価格は、過去2年間で合計20% 以上の値下げが続いていた。今回の値上げは2年ぶりだ。また大王製紙が、ティッシュペーパーやトイレットペーパーの出荷価格を5月から10%以上、引き上げると報じられた(日本経済新聞3月14日付)。他社にも動きが広がる可能性がある。今年は生活に身近なものの値上がりが相次ぎそうだ。

カナダ産小麦の品質不良で価格高騰

小麦価格の売渡価格引き上げは、カナダ産小麦の品質不良で良質小麦の価格が高騰したことや、円安、燃料油価格の高騰が主な要因だ。輸入小麦の政府売渡価格は、4月と10月の年2回改定され、直近6カ月間の平均買付価格をベースに算定される。

小麦は需要量の約9割を外国から輸入している。農水省によると、国内産小麦で満たせない需要分について政府が外国産小麦を計画的に輸入。製粉企業などの需要者に売り渡す形をとっている。

主な輸入先はアメリカ275万トン、カナダ144万トン、豪州91万トンとなっている(農水省2016年9月資料より)。これに国内産小麦のパン・麺・菓子用等流通分62万トンが加わり、合計573万トンがパン、麺、菓子などとなって国内で消費される仕組みだ。

小麦にはハード系とソフト系があり、ハード系小麦は、主にパン・中華麺用として、ソフト系小麦は、主に日本麺や菓子用として使われる。今期は、カナダ産小麦の品質が悪く、ハード系小麦の国際相場(ミネアポリス)が前期に比べ上昇した。

一方、ソフト系小麦の国際相場(シカゴ)は、世界的に潤沢な在庫・供給量を背景に軟調に推移している。これらの買付価格の加重平均が1トンあたり5万690円で、前期の4万8470円から4.6%上昇となったもの。

パンやカップ麺の値上げはない?