宅配最大手のヤマト運輸が、再配達締め切り時刻の変更や配達時間帯指定枠変更など、一部のサービスを縮小することを発表した。これはネット通販の増加で、荷物の量が増大する一方、人手不足が深刻化する中で、ドライバーの労働環境の改善が必要とする春闘合意を受けてのもの。サービス変更は4月24日より順次行われる見込みだ。

サービス見直しの対象となっているのは、当日再配達締め切り時間と、一部の配達時間帯の廃止の二つだ。4月24日から、現在20時までとなっているドライバーへの再配達依頼受付の時間を19時までに変更。6月にも利用者の少ない「正午から午後2時」と、利用者が多く多忙になりやすい「午後8時から午後9時」を廃止し、新たに「午後7時から午後9時」という時間帯を設けることで、業務の分散を図る。

このサービスの見直しには、通信販売市場の拡大によって荷物の取扱量が急増しているにも関わらず、過酷な条件や長時間労働などによりドライバーらの人手不足が深刻化していることが影響している。

日本での通信販売最大手、アマゾンの2016年売上高は1.1兆円を超すなど他社を大きく引き離しているが、2013年に佐川急便がアマゾンとの取引を打ち切ってからは、ヤマト運輸がその貨物を多くを引き受けている。ヤマト運輸の発表によれば、今期の小口貨物取扱個数はおよそ17億2000万個と、前年比で8%増加しており、これは5年間に15%という日本全体で見た宅配便取扱個数の増加と比べても高い水準だ。

一方で荷物の増加は長時間労働の常態化を招くこととなり、離職者が増加。それによりさらに現場の労働環境が悪くなるという悪循環の中にあった。

国土交通省の発表よれば、再配達は総配達量全体の約2割にも及ぶと言われており、ここにメスを入れることで労働環境の改善を図る狙いがあるようだ。

残業代の一部不払いが問題に