厚生労働省と警察庁の発表で、2016年の自殺者数は2万1897人で、2015年より2128人減ったことが分かった。ピークだった2003年の3万4427人に比べると実に40%&近くも減ったことになる。
自殺の原因・動機の7割近くが「健康問題」
自殺者数は1997年に2万4000人台だったものが、翌98年には3万2000人台へ急激に増え、3万人台で推移していた。2010年から減少しはじめ、2012年には15年ぶりに2万7000人台に減った。その後も減少傾向は続き、2016年に2万2000人を割り込んだ。これ14年ぶりのことだ。
性別では男性が1万5121人で全体の69.1%を占めている。統計が発表されている1978年以降、男性が女性を下回ったことはない。また年齢別では40代が3739人で全体の17.1%、次に50代、60代が同率の16.6%となっている。
年代別では20代から上の年代はすべて減少傾向にある。ただ19歳までの年代は2010年以降ほぼ500人台でほとんど変わっていない。総数そのものが他の年代に比べ5分の1から7分の1と少ないが、若年層の自殺防止への努力が一層必要なことは確かだ。
自殺者のうち、遺書などの自殺を裏付ける資料のある人1万6297人の、自殺の原因、動機は、「健康問題」が1万1014人で67.5%を占めた。実に3人に2人という割合だ。次は「経済・生活問題」で3522人(21.6%)、以降「家庭問題」3337人(20.5%)、「勤務問題」1978人(12.1%)、「男女問題」764人(4.7%)、「学校問題」319人(1.9%)となっている。割合の合計が100%を超えているのは、原因、動機には複数の理由が存在することも多く、1人に対して最大3つまで集計しているためだ。
自殺の原因・動機で「健康問題」が圧倒的に多いが、それが40代以降の自殺者が全体の74.2%もなる要因となっている。さらに目に付くのが働き盛りといわれる40代で、「家庭問題」で男女とも、「勤務問題」は男性が最多、「経済・生活問題」では50年代に次ぐ多さということだ。会社や家庭、経済状態などさまざまな狭間で苦労している姿が浮かび上がってくる。