輸入バターの入札価格が1年前と比べて価格が5割以上上昇している。

独立行政法人農畜産業振興機構が2017年3月9日に実施した輸入バターの売買同時入札(SBS方式)の平均落札価格は1トンあたり80万4592円となった。2016年2月25日の同平均落札価格は52万0439円であり、約1年で5割も価格が上昇した事になる。高止まりしている小売価格が一段と上昇する可能性もある。

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(写真=PIXTA)

各国の生産調整が輸入価格を押し上げ

輸入バターの価格を左右する指標としてニュージーランドの乳牛大手フォンテラの公表する「GDP価格指数」がある。同指数は2016年8月15日の514ポイントを底に上昇を続けており、2017年3月21日には972ポイントとなっている。輸入価格も同指数の上昇と足並みを揃える形で上昇している。

価格上昇の原因は各国の生産調整にある。「GDP価格指数」は2014年を境に2016年8月に底を打つまで下落を続けていた。収益悪化に直面し、各国は生産を絞る事にシフトする事となった。バター輸出大国ニュージーランドの2016年生産量は、米農務省調査の推定値で前年から3.3%減少となっている。生産調整の結果、需給バランスが改善され、価格上昇に転じたのである。

足下のバター小売価格に大きな変化はないが、そもそも小売価格は過去数年高止まり状態となっている。総務省の「小売物価統計調査」によると、2017年2月の東京のバター小売価格は200gあたり430円である。2014年に400円台に乗った後、「GDP価格指数」の下落局面においても下がっていない。

小売価格の高止まりは国内市場の特殊事情が大きな要因