神戸市に本社を持つ宝飾品メーカーTASAKIが投資ファンドの支援を受け、経営陣らによる自社株式の買い取り(MBO)を実施することを発表した。経営再建のための先行投資により一時的に収益の低下が見込まれるため、上場を廃止することで自由度を高める狙いがあるとみられる。

ブランドイメージの強化狙う

(画像=TASAKI Webサイトより)
(画像=TASAKI Webサイトより)

TASAKIは神戸に拠点を持つ宝飾品メーカー。一時は安価な中国産真珠に押されて業績が低下、2008年からは一時アジア系投資ファンド「MBKパートナーズ」の子会社となった。旗艦店の建て替えや米国人デザイナー起用、出店先の変更など店舗改革に取り組んだことで業績は回復、13年10月期に9期ぶりに最終黒字転換し、15年には子会社から脱却していた。

日経によれば、再建の鍵を握ったのはブランディングの強化にあった。これまでのホテル内中心の出店から、百貫店内の特選売り場や地方の一番店への出店へと戦略を変えた。改革は身を結び、16年10月期の国内売上高は165億円と6年前の90億円から大きく伸びた。「ファッション感度の高い若い人を取り込めるようになった」のが大きい。

この流れに乗り、TASAKIは2017年10月期の連結売上高で前期比4%増の231億円、純利益で同2%増の20億円を狙っている。しかし少子化に伴う婚礼市場の縮小などの影響を受けて、国内の宝飾品市場は大きな成長が見込みにくい。そのため同社では積極的な海外展開を進めていて、今月14日にも中国の成都に新店舗をオープンしたばかりだ。

その鍵を握っているのが欧米への店舗展開によるブランドイメージの強化だ。TASAKIでは16年6月にフランスの「リッツ パリ」に初の直営店を開業したのに続き、昨年12月にもロンドンに直営店舗をオープン。報道によると年内にもアメリカのニューヨークにも初の直営路面店の出店を予定している。こうした欧米への店舗展開を通じ富裕層層が指名買いするブランドを目指すのだという。

自由度高めリスクをとる