航空券が発券できないなどのトラブルが発生し、注目されていた格安旅行会社てるみくらぶが3月27日、東京地裁に破産を申告し、山田千賀子社長が会見を行った。すでにツアー代金を支払った人の数は8万から9万人とされ、総額は約100億円に上る可能性がある。

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(写真=JETACOM AUTOFOCUS/Shutterstock.com)

会見で社長が謝罪するも払い済み旅行代金の返金めどはたたず

てるみくらぶは1998年に設立された旅行代理店。ハワイを中心に、グアム、サイパン、韓国などの格安海外パッケージツアーを販売することで急成長していた。2016年9月期の売上高は過去最高となる約195億円9600万円を記録している。従業員者数は約130人。旅行業界では過去4番目に大きな破産となる。

山田千賀子社長は27日に国土交通省で開いた会見で、「私の不徳の致すところです。誠に申し訳ありませんでした」と謝罪した。影響を受ける旅行者数や負債については、代理人弁護士によれば最大3万6000件、99億円あまりと試算しているとのこと。旅行代金をすでに支払った申し込み客の数は8万人から9万人、負債総額は151億円に上る可能性もある。

問題が起こったのは3月24日。航空券が発券出来ない、現地のホテルで宿泊料金を請求された、などのトラブルが相次いでネット上に投稿された。てるみくらぶからは「発券済みの航空券はご利用いただけるかどうか現時点で確認できておりません」などと記されたメールが申込者当てに送られており、ツアー代金の返金がされるかなど不安の声があがっていた。

山田社長は会見で「すでに発券されている航空券においては利用できるものと認識しているが、実際に利用できるかは客自身が各航空会社に問い合わせてほしい」「本日以降渡航する予定の方は、渡航先のホテルや交通機関等に未払い債務を支払えないため、利用できない可能性が極めて高い。安全確保の観点から渡航しないことをおすすめする」と述べた。

山田社長によれば、経営悪化の原因となったのは、昨年春から打ち始めた新聞広告の広告費によるものだという。インターネットによる若者向けのビジネスから、新聞広告を利用することでシニア層にも展開しようとしたことが狙いだった。しかし、安すぎる料金設定による自転車操業ともいえる経営状態など、他の問題点も指摘されている。

申し込み客からは 計画倒産ではないかとの声も