欧州連合(EU)が英国を拠点とする航空会社に対し、英EU離脱後もEU主要路線を運行する条件として「本社と株の過半数のEU圏への移動」を提示していることが、ガーデアン紙の報道から明らかになった。

離脱決定直後から英国の航空会社が危機感をつのらせていた「航空自由化の終幕」とともに、多くの航空会社が「英国かEUか」の選択をせまられることになる。


英側が独自の新規制を設ける可能性

報道によるとEU側の意向は3月中旬、EU官僚と大手航空会社のエクゼクティブ間で最近行われた非公式の会議で表明された。株の50%以上をEU圏に移し、本社を英国から撤退させるというものだ。

提示された条件を拒絶した場合、例えばミラノ・パリ間、フランクフルト・プラハ間といった欧州路線の運行許可が取得不可能になる。

これに先立ち、デイヴィッド・デイヴィスEU離脱担当大臣が、離脱完了後の「自由航空協定」の継続をきっぱりと否定していたことなども確認されている。

こうした先行きを見越してすでに移転も?先を物色し始めていた、あるいはなんらかの対策を投じていた一部の航空会社をのぞき、多数の航空会社が決断と対応に追われると予測される。

ブリティッシュ・エアウェイズはEU圏内を運行していないが、親会社であるインターナショナル・エアラインズ・グループ(AIG)には多大な影響がおよぶ。そのため投資の拠点を、現在の英国からパリやフランクフルトなどに移動させる可能性は高い。

航空シェアの7%を占める格安航空会社(LCC)大手、イージージェットは英国に拠点をとどめると同時にEU圏での航空運送事業許可を取得する意図で、ひと足早くEU圏で新たな事業の設立に踏みきった。

拠点を英国からほかのEU圏に移す航空会社が増えれば、当然ながら英国内の雇用にも深刻な影響をあたえるはずだ。しかし英国側が対抗策として、独自の航空規制を設けることも十分に考えられる。

英政府報道官は、自国の航空市場がEU最大規模としての強みを強調。「今後も離脱交渉をとおし、お互いが納得できる結果となることを望んでいる」と述べた。(ZUU online 編集部)

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