欧州(EU)委員会は3月29日、ドイツ取引所とロンドン証券取引所(LSE)の合併計画の承認を却下する意向を明らかにした。

電子メールで配布した声明文によると、「両取引所の合併によって誕生する巨大取引所が、債券および現物取引の決済業務を事実上独占し、競争力が阻まれる」点を懸念しての判断だ。


市場には安堵の念が広がり、株価上昇

EU委員会マルグレーテ・ベステアー競争政策委員は「両社は当局の懸念をうち消すのに必要な措置を提示しなかった」ため、合併を阻止する判断をくだしたと説明した。

英国によるリスボン条約50条発動と同日という点に意図的なものを感じるが、実際は
青天の霹靂といった結果ではない。両取引所の合併交渉が白紙にもどされたのは今回で3度目だ。英EU離脱決定後も「合併を進める」と強気な姿勢を見せていたが、今年2月頃から本拠地をめぐる意見の対立が報じられ始めた。

昨年6月に時価総額300億ドル(約3兆3288億円)相当といわれた大型合併を発表した際、合併後の本拠地をロンドンに置くことで合意していたドイツ側が、「交渉は英EU離脱決定以前にまとめられたもの」として、本拠地をフランクフルトに変更するよう要請しだした。トーマス・シェーファー独財務大臣は「先行きの不透明なロンドンに拠点を置くのは賢明ではない」と述べた。

規制当局による合併承認待ちだったLSEも、EU側が競争力を弱める意図で要求していた伊債券電子取引システム会社、MTSの売却を拒絶していたことから、EUからの合併合意が得られない可能性を明らかにしていた。

今回の決別により、1月に発表されたLSEによるユーロネクストへの仏決済部門の一部売却も、白紙に戻される懸念が広がっている。「3度目の正直」とはならなかったが不透明さに決着がついたとの安堵の念から、発表直後、LSEの株価は3%、ドイツ取引所の株価は2%上昇した。(ZUU online 編集部)

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