4月はマザーズ指数とダウ平均が好調
まもなく2016年度が終わろうとしている。英国のEU離脱(BREXIT)、トランプ米大統領の誕生など波乱に満ちた1年だった。そしていよいよ来週から2017年度相場が幕を開ける。本レポートでは新年度相場の展開を予想するヒントを得るために、過去の4月相場の特徴を調査した。まず、表1は過去10年間の外の主要な株価指数や外国為替の4月の値動きだ。
表の中で特に特徴的なのは、東証マザーズ指数とNYダウ平均だろう。東証マザーズ指数は過去10年間で上昇が7回、下落が3回と上昇率が7割で平均騰落率は+5.7%だ。昨年(2016年)は日経平均が下落する中でも10%超の高い上昇率を誇っている。日本では4月から新年度入りということで、新たに投資を始める個人投資家の資金が入ってきやすいことが要因として挙げられるかもしれない。
さらに特徴的なのは、NYダウ平均だ。過去10年間4月はすべて上昇している。こちらもはっきりとした理由は定かではないが、「sell in May(5月に株を売れ)」という相場格言もあるように、5月に向け高値をつけやすいアノマリー(理屈では説明がつかないがマーケットに起きやすい事象)があるようだ。
海外投資家が100%買い越している4月
続いて過去10年間における部門別の売買動向を調査した。部門別売買動向を見れば「個人投資家」・「海外投資家」・「投資信託」・「事業法人」などの各投資主体が株式を買い越したのか、売り越したのかを知ることができるため、市場の需給動向を見極めるための参考データとして重要視されている。
一般的には「個人投資家」は株価が下落したときに買い越す「逆張り」の傾向が強く「海外投資家」は高値を買い上がっていく「順張り」の傾向が強いとされている。表2で過去10年間の4月の主要部門の2市場(東証・名証)の買い越し・売り越し状況(金額ベース)をまとめた。
表で目立つのが海外投資家の買い越しだ。なんと海外投資家は過去10年4月はすべて買い越している。こちらもはっきりとした理由は定かではないが、日本の新年度入りに合わせて買いを入れてきやすいようだ。もちろん表1で見たように海外投資家が買い越しても日経平均が下落している年があるように、海外投資家の買い越しと株価の上昇が必ずしも直結するわけではないが、傾向としては押さえておいて良いポイントだろう。
4月に上昇しやすい業種や銘柄は
それでは続いて過去4月に上昇しやすかった業種や銘柄を見ていこう。表3は東証33業種の過去の4月の騰落をまとめたものだ。「石油石炭製品」「海運業」「機械」「電気機器」「ゴム製品」「ガラス・土石製品」「水産・農林業」「情報通信業」の8業種が過去10年で7回上昇している。一方で「電気・ガス業」は過去10年で上昇は2回のみと冴えないパフォーマンスが目立つ
では最後に4月に上昇しやすい個別銘柄を見ていこう。東証1部に上場しており過去10年間の株価データを取得できた1,662銘柄について、3月末と4月末の株価を比較した騰落率を集計した。すると表4の通り、過去10年間4月にすべて上昇していた銘柄が1銘柄、9回上昇していた銘柄が19銘柄あった。一方で過去10年間1度も上昇しなかった銘柄が2銘柄、1度しか上昇しなかった銘柄が11銘柄あった。
もちろん偶然によるところが大きいのだろうが、株価に一定の季節性が働いている可能性もある。上昇回数が多かった銘柄、少なかった銘柄はそれぞれ表5・表6に示した。今年も過去の傾向どおりとなるのか、ぜひ株価をウォッチしてみてはいかがだろうか。
益嶋 裕
マネックス証券
フィナンシャル・インテリジェンス部マネージャー
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