読者のみなさんは「コインランドリー」にどんなイメージを抱いているだろうか。昭和生まれの筆者にとって、コインランドリーといえば「暗い」「怖い」「汚い」などのマイナス・イメージが強かった。

しかし、そんな先入観を大きく覆す企業が登場した。九州を中心にコインランドリーを展開するWASHハウス <6537> である。昨年11月、同社は東証マザーズにIPOを果たし、株価は一時3.8倍にまで上昇するなど人気を集めた。

東証マザーズといえば、時代をリードする最先端で成長スピードの高い「IT企業」がイメージされるが、そんな中にあってコインランドリーの会社が人気を集めるのは意外に思われるかも知れない。今回は、WASHハウスの人気の理由に迫ってみよう。

株価は公募価格から5.4倍、初値からでも3.8倍

WASHハウス,株式投資
(写真=Thinkstock/Getty Images)

まずは、WASHハウスの株価を見てみよう(※以下の株価はすべて3月末の1対2の分割調整済)。昨年11月22日、同社の上場時の初値は1620円で公募価格の1150円を40%上回ってスタートした。今年3月31日には6200円の上場来高値を付け、公募価格からは5.4倍、初値で買っても3.8倍となっている。

ちなみに、WASHハウス以降のIPO株は45銘柄。その中で上場後の高値が公募価格の5倍以上になっている企業(※4月5日時点)は、エルテス <3967> 、セグエ <3968> 、ファイズ <9325> 、力の源ホールディングス <3561> の4銘柄だ。

エルテスとセグエはIT系、ファイズはEC向け物流と時代を感じさせる銘柄だ。力の源はラーメンの「一風堂」で抜群の知名度を有している。これらの銘柄に、コインランドリーのWASHハウスが肩を並べているのだ。

コインランドリーの「IT化」で九州から全国へ

WASHハウスの株価上昇は好調な業績を抜きに語れない。2月10日発表の2016年12月期決算は、売上が52%増の31億1000万円、本業の利益を示す営業利益は34%増の2億9000万円と、事前予想の売上30億6000万円、営業利益2億8000万円を上回った。さらに2017年12月期の予想についても売上37%増の42億6000万円、営業利益27%増の3億7000万円と大幅に拡大する見通しが示されている。

WASHハウスのコインランドリーの特徴をひと言でいえば「IT化」である。まず、サポート体制が凄い。365日24時間体制で、コールセンターからの監視カメラと遠隔操作で店舗を管理しているほか、IoTシステムおよびビックデータを用いて売上の分析を行いマーケティングに活用することで高いFCの満足度を得ている。

業績面で驚異的な成長を示すWASHハウスであるが、それでもフランチャイズ展開は九州が中心である。昨年は東京出店も果たしているが、全国展開は始まったばかりだ。上記の「IT化」を武器に、上場で調達した資金と知名度で全国展開を推進すれば、さらなる成長が期待できるだろう。

現在のPERは140倍と決して安くはないが、50%の売上成長が続くのなら決して高くはないという見方も出来る。

コインランドリーは大きな可能性を秘めている

冒頭でも述べた通り、昭和生まれの筆者にとってコインランドリーは「暗い」「怖い」「汚い」などのイメージがあった。昔は不良や暴走族のたまり場になったりして、コインランドリーの近くには住みたくないとの思いがあった。

ところが、いまや若い世代を中心とした住まい探しの一つの基準として「近くにコインランドリーがある物件」が好まれる傾向にあるという。住宅環境の変化やアレルギー患者数の増加で布団を洗う人が増えているためとみられる。大型洗濯機や乾燥機があるコインランドリーでは布団や絨毯が簡単に洗えるからだ。

「安全」で「きれい」なコインランドリーでは、多くの人々が長い時間を過ごす。今後、広告配信、動画配信などのアンテナショップとしてのニーズが高まることも考えられよう。昨今のコンビニに見られるような基地局としての可能性も秘めているのだ。

経済番組で一気に認知度が上昇?

今年2月には、テレビの経済番組でWASHハウスが取り上げられたのをご存知の人もいるのではないだろうか。筆者はWASHハウスの認知度が一気に上昇する一因となったのではないかと考えている。

成熟したと思われる産業でも「ITを活用」することによって、ビジネスチャンスが拡大する可能性を秘めている。メディアで大きく取り上げられて認知度が上がると、株価も上昇し、さらなる業績の成長を後押しする「好循環」となる。今回のWASHハウスの株価上昇は、そんな「好循環」を連想させる事例といえるだろう。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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