ゲオがエイベックス・デジタルと共同展開を行ってきた定額動画配信サービス「ゲオチャンネル」が2017年6月30日をもってサービス終了となる。2016年2月のサービス開始から約1年半でのサービス終了は収益性低下が原因である。動画配信サービス市場は好調であるが、競争も激化している。
エイベックスは業績を下方修正
「ゲオチャンネル」のサービス終了は両社の親会社であるゲオホールディングス <2681> とエイベックス・グループ・ホールディングス <7860> が2017年3月31日にそれぞれプレスリリースを公表し、明らかとなった。
エイベックス・ホールディングスは2017年2月に「ゲオチャンネル」の収益性低下により、引当金繰入額とたな卸資産評価損を合わせて15億9700万円を売上原価計上しており、「ゲオチャンネル」用ソフトウェア等についても、4億7000万円の特別損失の計上を行っている。これに伴い、同社は2017年3月期の業績予想を最終減益へ下方修正している。
「ゲオチャンネル」はアダルト作品を含む定額動画配信サービスとして2016年2月にサービスを開始した。早期に100万人の会員獲得を行う事を目標としていたが、会員数が伸び悩んでいたと見られる。ゲオの実店舗でのレンタルが月20本まで無料となるコースも用意する等、レンタル会員約1600万人の取り込みを狙ったが、失敗に終わった。
右肩上がりの成長を続ける動画配信サービス市場
動画配信サービス市場は急成長している。野村総合研究所 <4307> の調査によると、国内市場規模は2016年度の約1700億円から2019年度には2000億円を超えると予測されている。市場規模の拡大に伴い、参入企業も増加しており、NTTドコモ <9437> の運営する「dTV」などの国内勢だけでなく、米アマゾン・ドット・コムの「Amazonプライムビデオ」や米ネットフリックスの「Netflix」などの外資系の参入も目立つ。まさに群雄割拠の様相を呈している。
競争激化の煽りを受けたのは「ゲオチャンネル」だけでは無い。楽天 <4755> は2013年に米国で買収した動画配信サービス「Viki」運営会社について、のれん代の減損損失を214億円計上すると2017年2月13日に発表した。国内外で動画配信サービス市場の競争が激化しており、計画に遅れが生じているという。
動画配信サービスは会員数の増加が収益につながる。今後も会員獲得に向けた各社の競争は続くと予想され、競争に敗れたサービスは「ゲオチャンネル」のように市場からの退場を余儀なくされる。
渦中のゲオは「ゲオチャンネル」の他に「ゲオトナ」という動画配信サービスを自社で運営しており、今後はこちらのサービスに注力していくと見られる。主力のレンタル事業が頭打ちとなる中、成長市場への挑戦は続く。エイベックス・デジタルもNTTドコモと共同で行う「dTV」など主力事業の拡大を画策する。
激しい競争にさらされても、各社は右肩上がりの成長を続ける動画配信サービス市場を無視できない。各社の戦略の競い合いに今後も注目が集まる。(ZUU online編集部)