所得が伸び悩んでいるにもかかわらず、教育費は増加の一途をたどっています。子育て世代への経済的負担が重くなるばかりです。
そんな中注目されているのが、孫への「学資保険」です。学資保険は親が子のために用意するイメージがありますが、孫の誕生を受けて祖父母が出産祝いとして加入するケースは珍しくありません。孫への学資保険とは、一体どのようなものでしょうか。
子育て世帯には重い教育資金の準備
学資保険とは、毎月一定額の保険料を納め、中学・高校進学時または大学進学時に満期金が受け取れる貯蓄型の生命保険です。契約者に万が一のことがあれば保険料の支払いは免除され、満期金は予定通り支払われるのが大きな特徴です。オプションで保険料を上乗せすれば育英年金を受け取ることもできます。
保険料は種類によってさまざまで、たとえば親が30歳、子どもが0歳の時に加入して18歳で300万円を受け取るタイプの保険だと、保険料は月々1万5,000〜2万円になります。
しかし、子どものいる家庭では、その金額でも積み立てが難しい場合もあります。総務省がまとめた「全国消費実態調査(2014年版)」によると、消費支出(生活費)が最も高くなるのは、世帯主が50歳代の世帯で、次いで40代、30代です。特に50代では、支出のうち教育費が占める割合は約27%となっています。
子育て期間中ずっと家計に余裕がない状態では、教育資金を貯めるどころではないでしょう。そこで、頼りになるのが、祖父母です。前述の「全国消費実態調査(2014年版)」によると、貯蓄残高は60~70歳代が圧倒的に高くなっています。60歳代の平均貯蓄残高は2,133万円と、30歳代の実に3.5倍です。高額化する教育費の負担に、子育て世代が祖父母の力を借りるのは有効な手段といえるでしょう。
孫に学資保険をプレゼントする方法
孫に学資保険を贈る方法としては、大きく分けて以下の2パターンあります。
1. 祖父母が契約者となって保険料を支払う
2. 両親が契約者となって祖父母が保険料を贈与する
1のほうが孫に直接支援している実感があるので祖父母側の満足度は高いのですが、実際には2にするケースが多いようです。その理由は以下の3つです。
・ 契約者には年齢制限がある
学資保険に加入するには年齢制限があります。かつては60歳までが一般的でしたが、最近では75歳以下の商品も増えてきています。加入の際には、健康状態に関する告知を条件にしているところが多くみられます。上限は保険期間や子どもの年齢によって変わることがあるので、75歳以下なら誰でも入れるわけではありません。
・ 保険料払込免除特則はつけられないことも
学資保険の最大の特徴は、契約者が亡くなったり高度障害状態になったりすると、以後の保険料の支払いが免除になり、満期には予定通り満期額資金が受け取れることです。しかし高齢の祖父母が契約者の場合、免除が適用されないケースがあります。
・ 月々の保険料が高めになる
保険料は加入のタイミングや年齢によって異なり、特に契約者・被保険者が高齢の場合は高くなります。子どもがある程度大きくなってから加入すると支払期間が短くなるため、月々の保険料はさらに高くなります。
保険料を払ってもらうことによる贈与税は?
両親が学資保険の契約者になり、保険料を祖父母から援助してもらう2の方法だと、保険料分のお金を贈与してもらっていることになります。この場合、贈与税はかからないのでしょうか?
結論からいうと、贈与税の心配はいりません。年間110万円までなら贈与税は非課税なのです。月額9万円を超えるほどの保険に加入しないかぎり、贈与税が発生することはありません。
この方法だと、家計の苦しい子育て世代は自己負担なく教育資金の積み立てができ、高齢の祖父母が契約者になることによるデメリットも回避できます。ただ、祖父母からすると孫のために資金を出しているのにもかかわらず目に見える支援になりにくいため、不満が残ります。そのため、常に感謝を形にするなどの配慮が必要と考えられます。
1,500万円までの一括贈与とは
孫の教育資金を援助するためにまとまったお金を両親に渡してしまうと贈与税が発生するため、学資保険の保険料を援助するというのは賢い方法といえます。
この他の贈与税を払うことなく孫への資金提供する方法としては、教育資金の一括贈与もあります。正確には「直系尊属から教育資金1,500万円までの一括贈与を受けた場合の非課税制度」といい、2013年4月1日から2019年3月31日までの時限措置です。1,500万円までは援助しても贈与税がかからないので、富裕層の節税対策として注目されています。
この制度では、金融機関に専用口座を開設して申告書を提出すれば、口座に入っているお金は孫の教育資金の費用として引き出すことができます。学資保険よりも大きな金額を孫に渡せる制度ですが、非課税の対象となる教育資金の種類は細かく決められており、入学金や授業料に使うことはできても学資保険などの保険料のために使うことはできません。また、お金を引き出すには必ず領収書が必要なので、教育にかかった領収書はすべて保存しておく必要があります。
親子三代で話し合おう
学資保険の入り方と一括贈与についてお話してきました。もし、孫への学資保険を考えるのであれば、契約者を両親のいずれかにして保険料の支援を行うことが最も現実的な方法と考えられます。その際には、祖父母に不満が残ることがないよう、親子三世代でよく話し合いましょう。(提供: 保険見直しonline )
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