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相続する(相続・承継)
Written by 井上通夫 22記事

行政書士が解説

離婚後に元妻が再婚。未成年の子の親権者を自分に変更できるのか?

離婚する夫婦に未成年の子どもがいる場合、親権者を決めて離婚届に記入しないと、役所で受理してもらえない。父親、母親のどちらが親権を持つかは、話し合いによって決める。

以前男性Aさんから、「離婚の際に、妻が親権者だったが、今から自分に変更できますか?」という質問を受けたことがある。

親権を変えたい理由は元妻が再婚すること

離婚,親権
(写真=PIXTA)

相談者のAさんは、2年前に当時専業主婦だった妻Bさんと離婚した。当時3歳の娘がいたが、親権はBさんが持つことになった。残業続きの会社員であるAさんが親権者になることは現実的ではなかったからだ。その代わり、月々の養育費は滞りなくBさんの口座に振り込んでいる。月に1回程度だが娘とも会うようにしている。

離婚したとはいえ、AさんもBさんも娘も順調に生活してきた。ところが、最近になってAさんは、Bさんから近々再婚する旨を告げられた。つまり自分の娘に新しい父親ができることになるのだ。Aさんは驚くと同時に急に心配になった。娘は新しい父親と上手くいくだろうか、もし新たに子どもができたら、疎外されてしまうのではないかと。口には出さなかったが、母子家庭の子どもが母親の交際相手や再婚相手の男に虐待を受けるといったニュースも頭をよぎった。

そこでAさんは元妻Bさんに、「自分が親権を持って娘を育てたい」と申し出た。もちろん仕事で忙しいことには変わりないが、近くにAさんの両親が住んでいて、Aさんと娘とがその家に同居することで、十分育てていくことができるのではないかと考えたのである。

しかしBさんからは、「親権を今から変える理由がない。むしろ今から養育環境が変化することが娘にいい影響を与えない」と拒絶された。このように言われてAさんが相談に来られたのである。今から家庭裁判所に調停を申し入れることも考えているが、その前に説明を聞きたいとのことであった。

親権が変更できる場合とは?

親権は、未成年の子どもの「身上監護権」と「財産管理権」のことである。身上管理権は、子どもに適切な教育やしつけを行い、一人の大人にすることと、子どもに代わって契約を行う権利である。また財産管理権は、子どもの財産を管理する権利である。つまり、親権は子どもの教育、福祉、利益を第一に考えた権利であると言える。

Aさんが言う「もしかしたら娘に良くないことが起こるのではないか」という不安は、父親の立場から当然出てくるものである。しかし、実際に親権を変更するには、家庭裁判所の調停や審判という手続きが必要だ。その際の基準となるものは、変更の理由が正当であること、変更することで子どもの生活が悪影響を及ぼさないことの2つである。

具体的に言うと、親権者が長期の入院をすることになった、子どもが虐待されている、親権者が海外に転勤することになった、親権者が育児放棄をしている−−など明らかに親権者の下に子どもを置いておくと、子どもの教育や福祉に悪影響を及ぼすことが予想される場合に限られる。Aさんの例のように、親権者が再婚したから、将来的に阻害されそうだからという理由では、親権の変更は認められないのである。

しかも、親権を考える上で家庭裁判所は、「継続性」を重視する。例えば、夫婦が2年別居していて、その間妻が子どもを養育していた場合、たとえ夫の側が経済的な優位性があり、妻が離婚後子どもを養育し続けていくことが厳しい状態でも、裁判所は基本的に母親の親権を認める。これは、幼い子どもが2年間も同居しているという事実、養育の継続性を重視するためである。

Aさんの場合、この時期に母親から父親に親権を変更する理由がないということと、3歳の子どもが2年間母親に養育されているという「継続性」を考えれば、Aさんに親権が変わる可能性は極めて低い。この点をAさんに説明をしたところ納得されたようだった。

ただBさんが再婚したことで、娘が虐待されたり、疎外されたりすることをAさんは心配すると同時に、娘と会える機会が減るのではないかと危惧されていた。たしかに娘にとっては「父親的存在」の人がひとつ屋根の下にいるようになるのだから、自分の立場はどうなるのだろうと、Aさんが心配することも理解できる。

しかし、AさんとBさんが離婚しても、さらにBさんが再婚しても、Aさんと娘はいつまでも親子であることは変わりない。むしろ今後娘が成長していって、一緒に色々な所を出かける機会が増えることになる。ここはBさんとしっかり話し合って、娘との面談に協力してもらうようアドバイスをした。

Aさんのような事例は今後増えていくことだろう。たとえ離婚しても、親権者のみが養育を担うのではなく、親権を持たない親も頻繁に子どもと会うことで、積極的に養育に参加していくことが望ましいと思う。(井上通夫、行政書士)

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