国立社会保障・人口問題研究所が公表した「2017年版 人口統計資料集」によると、生涯未婚率が男性で23.37%、女性で14.06%であることがわかった 。男女とも過去最高を更新しており「結婚離れ」が進んでいる。どうして結婚しない人が増えているのだろうか。
生涯未婚率とは?
生涯未婚率とは、50歳時の未婚割合である。45〜49歳と50歳〜54歳における未婚率の平均値から50歳時の未婚率を算出したものだ。50歳時点で未婚の場合、その後結婚することは稀であるため、生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す指標として用いられている。生涯未婚率の調査は5年に1度行われており、結婚に対する動向の変化を掴む上で非常に有効なデータになっている。以下は生涯未婚率の推移だ(国立社会保障・人口問題研究所・2017年版)。
【年次 男 女】
1960年 1.26% 1.88%
1970年 1.70% 3.34%
1980年 2.60% 4.45%
1990年 5.57% 4.33%
2000年 12.57% 5.82%
2005年 15.96% 7.25%
2010年 20.14% 10.61%
2015年 23.37% 14.06%
生涯未婚率の過去からの推移を見てみると、1980年までは女性の方が未婚率が高かったが、1990年からは男性の方が未婚率が高くなっている。原因は定かではないが、1990年と言えば「バブル崩壊」が始まった年なので、経済の先行きが不透明な中、結婚を控える人が増えたのかもしれない。
1990年以降の男性の推移を見ると、1990年が5.57%だったのが、2000年には12.57%と倍増し、2010年には20.14%と1990年比で4倍になっている。婚姻の要素が経済というわけではないが、経済の影響を受けていると考えるのは自然な流れだろう。
次に、都道府県別のデータを見てみると、男性で未婚率が最も高いのは沖縄県で26.20%、次いで岩手県で26.16%、3番目に東京の26.06%となっている。逆に最も低いのは奈良県で18.24%、次いで滋賀県で18.25%、3番目が福井県で19.19%となっている。
女性で最も未婚率が高いのは、東京の19.20%で、次いで北海道の17.22%、3番目が大阪の16.50%となっている。最も低いのは福井県で、8.66%、次いで滋賀県の9.21%、3番目が岐阜県の10.00%だった。
沖縄、岩手、東京に共通項はあまりなく、沖縄は失業率が高いことから、経済的理由によって結婚ができない可能性がある。逆に東京は都市機能が充実しているので、1人でも十分生活できるため未婚者が多いと考えられる。特に女性では東京と大阪の未婚率が高く、自立して生活している女性の結婚離れが進んでいることが伺われる。
一方、未婚率が低い県として男女とも滋賀県が入っていることは特徴的だ。昔ながらの結婚観をもった県民性なのか、あるいは地域で何らかの取り組みをしているのかわからないが、都市部でない地域の方が結婚に対するプレッシャーが依然として強いのかもしれない。