経済指標は上手に付き合えばFXのチャンスを大きく広げ、なおかつ短時間で効率的に利益を上げることが可能になります。
特に注目度が高い指標では、発表と同時にレートが大きく動くことがあります。アメリカの雇用の現況を示す雇用統計はその代表格で、FX会社などでは発表時に合わせてアナリストによる解説動画を配信したり、投資家が皆で発表を見守るお祭りのようなイベントを開催することがあるほど。為替相場だけでなく、アメリカや日本の株式市場にも影響を及ぼします。
(本記事は、羊飼い氏の著書『超ど素人が極めるFX』(翔泳社)の中から一部を抜粋・編集しています)
重要な指標発表ではノーポジションが無難
ドル円の場合、わずか数分で一気に1円以上も動くこともあるので、重要な指標発表を挟んでポジションを持つのは避けておくのが無難です。実際、雇用統計発表の前日や当日になると、為替相場や株式市場では新たな取引を控える「様子見」ムードが強くなり、レートがほとんど動かなくなることもあります。
長期保有派の投資家でも、変動が大きくなりそうなことが予想される局面では、必要に応じてポジションを減らしておくといった対策も考えられます。
トレードは、指標の結果を受けた値動きの方向を確認してから、その方向に乗ってエントリーするのが基本です。発表前に結果を予想して、一か八かのポジションを持ったりするのは危険です。当たった時に利益は大きくなりますが、逆に振れたときの損失も大きくなります。
結果を受けてどう動くかは、市場のセンチメント(心理状態)によっても変わります。上昇の勢いが強い局面では、良い指標だけに大きく反応し悪い指標には反応が鈍ることも。次の項目で解説する「サプライズ」の程度や事前の値動きも影響するので、直前の相場環境もしっかりウォッチしておきましょう。
経済指標の結果は、市場「予想」との差に注目
経済指標の発表前にポジションを持って、思い通りの方向に動けば大儲けできるのでは? だれでも一度はかんがえることですが、オススメはできません。それはギャンブルでしかないからです。
教科書的には、経済指標で良い結果がでればその国の通貨は買われて上昇し、悪い結果が出れば売られて下落します。しかし、指標結果の「良い」「悪い」に絶対的な評価はなく、相場はさまざまな要因の影響を受けて変動します。
重要な経済指標には事前に金融機関や情報機関のアナリストらが、予想値を出しています。これらの予想の平均的な数値が市場のコンセンサスとされ、投資家に強く意識されることになります。
値動きを左右するのは、指標の結果の良し悪しよりも、市場予想との乖離です。予想よりも良ければ買われ、悪ければ売られ、同じであれば反応しないという傾向が強くなっています。
このため、市場予想をはるかに上回る好結果が出ると「ポジティブサプライズ」となり、通貨は大きく買われます。逆に予想をはるかに下回る悪い結果だと「ネガティブサプライズ」として暴落することもあります。予想と結果が離れているほどサプライズは大きくなり、市場は上にも下にも極端な反応を示すようになるのです。
羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
「羊飼いのFXブログ(
http://kissfx.com/
)」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。