昨今、一人で子どもを育てる「ひとり親家庭」が増加しています。厚生労働省の『平成23年度全国母子世帯等調査』によると、この25年間で母子家庭は1.5倍の123万8,000世帯に、父子家庭は1.3倍の22万3,000世帯に増えています(母子または父子以外の同居者を含む)。

そんな中、5歳の子どもとともに生活をしているEさん(35歳・女性・パート)は、夫と別居中です。離婚を考えており、5歳になる子どもはEさんが育てていこうと考えています。今後、Eさんが使える制度や、備えるべきものは何があるのか考えてみましょう。

ひとり親家庭の現況

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(写真=Yuriy Golub/Shutterstock.com)

平成23年度全国母子世帯等調査の結果によると、ひとり親家庭になった理由としては、母子家庭の場合、離婚が80.8%、死別が7.5%で、父子家庭の場合は、離婚が74.3%、死別が16.8%です。

また、就業状況としては、母子父子ともに80%を超えていますが、父子家庭の正規雇用が67.2%に対し、母子家庭の正規雇用は39.4%にとどまっています。

平均年間就労収入を見てみると、父子世帯360万円に対して母子家庭が181万と、母子家庭の厳しい経済状況が浮き彫りとなっています。

子ども一人あたりに必要な教育費は?

ひとり親だからこそ「子どもには不憫な思いをさせたくない」「しっかりとした教育を受けさせたい」という思いも強くなるものです。では、子どもの教育費は幼稚園から大学までの期間で、一体どのくらいかかるのでしょうか。

文部科学省の『平成26年度子供の学習費調査」および独立行政法人日本学生支援機構の『平成26年度学生生活調査」によると、幼稚園から大学まですべて公立に通った場合は約790万円、すべて私立に通った場合は約2,310万円かかります。

教育費はまとまった額が必要になるため、早くから準備を始めることが大切です。

ひとり親家庭が使える公的支援を確認

離婚を考え始めたEさんが最も不安になったのは「自分ひとりで子どもを育てていけるのか」という経済的な不安でした。ひとり親となるEさんが、使える制度を知っているか知らないかでは、その後の生活が大きく変わってきます。ひとり親となる前にしっかり押さえておきたいものです。

ひとり親家庭の支援には「子育て・生活支援」「就業支援」「養育費の確保支援」「経済的支援」と、大きく分けて4つの公的支援がありますが、その中でも「経済的支援」について見てみましょう。

● 児童扶養手当
離婚によるひとり親家庭等、父母の一方からしか養育を受けられない児童について支給される手当です。子どもが0歳から18歳に達する日以降の最初の3月31日まで(障害児の場合は20歳未満)が支給されます。支給額は、児童1人の場合、月々4万2,330円ですが、一定以上の所得になると4万2,320円から9,990円まで所得に応じて変動します。また、児童が2人以上の場合、2人目は最大1万円、3人目以降1人につき最大6,000円が加算されます。

● 母子・父子寡婦福祉資金の貸付(子どもの進学に要する費用の貸付など)
子どもの進学時に、入学金や授業料に充てるための費用を貸してくれます。20年まで長期間にわたり無利子で借りられ、返済負担に配慮されています。これ以外にも、就職のための技能習得や生活資金・住宅資金など12種類の貸付制度があります。

以上、2つの経済的支援を紹介しましたが、住んでいる自治体ごとに支援制度がありますので、しっかり確認して活用しましょう。

準備しておきたい保険

離婚をすると、Eさんが世帯主となり大黒柱となります。現在Eさんは医療保険にしか加入していませんが、Eさんが病気やケガなど万が一のことがあると残された子どもが困ります。医療保険に加えて、死亡保障(定期保険や収入保障保険など)に加入することも検討したほうがいいでしょう。Eさんに万が一のことがあった場合の子どもの養育費や教育費は保険で備えておきましょう。

また、Eさんが健在であっても、まとまったお金が必要になる教育費に関しては少しでも早くから準備をしておきたいものです。入学などのイベントごとに祝金がもらえる、学資保険などで準備をするのも大切だといえます。

ひとり親家庭となった場合、子どもの教育費にはまとまったお金が必要になります。なるべく早い段階からの準備が大切になりますので、制度や保険を活用しながらしっかりと準備をしていきましょう。(提供: 保険見直しonline

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