中国本土、香港の投資家が3月下旬から4月上旬にかけて、北京・天津・河北省に営業基盤を持つセメント、建材、建設・エンジニアリング、不動産デベロッパー、環境関連、港湾運営などの企業を積極的に買っている。

例を挙げると、北京、天津、河北省を営業基盤とするセメントメーカー金隅股フェン(上海A株601992、H株02009)のA株株価は、この原稿を執筆している4月11日現在、5営業日連続でストップ高を記録している。11日の終値は7.50元で、急騰が始まる直前となる3月31日の終値は4.66元であった。この間の上昇率は60.9%である。値幅制限のない香港市場にも上場している同社株価は、値動きは荒いが高値圏を維持しており、11日の終値は4.61香港ドルであった。3月31日の終値は3.23香港ドルなので、この間の上昇率は42.7%に達する。なぜ、これらの企業が積極的に買われているのだろうか。

歴史的戦略プロジェクトが関係 "千年大計"、"国家大事"

中国,不動産事情
(写真=PIXTA)

株価暴騰には、中国共産党中央委員会が打ち出した重大な歴史的戦略プロジェクトが関係している。新華社は4月1日、「中国共産党中央委員会、国務院は先日、河北雄安新区設立を決定した。これは習近平同志を核心とする中国共産党中央委員会が打ち出した重大な歴史的戦略プロジェクトであり、深セン経済特区、上海浦東新区に次ぐ全国的な意義を持つ新区である。"千年大計"、"国家大事"である」と伝えている。

習近平国家主席を核心とする共産党中央委員会が主導している点、かつて外資導入の起爆剤となり、改革開放政策を成功に導いた深セン経済特区、上海浦東新区と同列に扱っている点で際立っている。

河北雄安新区は河北省雄県、容城県、安新県やその周辺地域から成り、河北省保定市の北東側に位置する。北京市から120キロメートル、天津市から110キロメートルの距離にある。北京市と天津市の距離は121キロメートルなので、ほぼ正三角形に近い三角形の頂点に大都市を置く形となる(距離は学優網を参照)。三角形の頂点から内側に向かって経済発展領域を拡大することで、やがては三角形全域に発展を拡散させる構想である。この河北雄安新区の開発を中心として、北京・天津・河北省一体化政策を推し進めようとしている。

まず、100平方キロメートルの開発を進め、それが終われば中期的に200平方キロメートル、長期的には2000平方キロメートルまで領域を広げる計画である。深セン経済特区の規模は1996平方キロメートル、上海浦東新区が1210平方キロメートルであり、最終的には両区を超える規模になる見込みである。

河北雄安新区は交通の便が良い割には、開発は進んでおらず、美しい自然環境が残されている。複数の報道によれば今後、北京における首都機能の一部が移転することも検討されているようだ。空港を整備するといった構想もあり、発展の道筋は見えている。

特徴はスマートシティ 国家資本主義の実践による経済成長