ソーシャルレンディングとリノベーション、どちらも近年注目されるキーワードだ。一見あまり関係のなさそうな両者だが、非常に相性がいい。この2つの関係がどう投資に関係するのか、ここで解説していく。

ソーシャルレンディングとは

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(写真=Brian A Jackson/Shutterstock.com)

ソーシャルレンディングは、インターネットが普及した現代における新しい資金調達方法だ。借り手と不特定多数の貸し手(投資家)をつなげる。銀行融資やノンバンクといった従来の方法と比べ、返済計画や資金用途などの自由度が高く、審査基準が多様であることが特徴だ。調達資金の用途はさまざまだが、多額の資金が必要な不動産業に利用されることも多い。

ソーシャルレンディングはクラウドファンディングの一種だ。クラウドファンディングでは、資金需要者が主にインターネットを通じて不特定多数の出資者を募ることができる。リターンを求めない寄付型、商品・サービス購入に近い性格をもつ購入型、そして貸付型(融資型)に大別される。日本では一般的に「貸付型(融資型)」のことをソーシャルレンディングと呼ぶ。

個人投資家にとっての魅力は高利回りだ。定期預金金利が0.1%に満たない現代において、ソーシャルレンディングの利回りは5%を超えることも少なくない。数万円程度から投資できることもあり、最低投資金額が小さいため、基本的に誰でも投資できる点も魅力的だ。ただし元本保証はなく、返済遅延や貸し倒れのリスクがあることに注意が必要だ。

リノベーションとは

建物においてリノベーションとは、既存の建物に新しい付加価値をつけるような大幅な改修のことをいう。取り壊しはしないため、主要な構造は変えないのが基本だが、時として間取りの変更を伴うような大きな工事になる。

似た言葉にリフォームやコンバージョンがあるが、前者は壁紙の張り替えや塗装など比較的小規模のものが多く、どちらかというと修繕という意味で使われる。コンバージョンはリノベーションに加えて用途変更を伴うものだ。オフィスを住宅に転用したり、商業施設を介護施設に刷新したりするなどの例が挙げられる。

建て替えを伴わないので、マンションなどの集合住宅でもリノベーションは可能だ。所有者にとっての魅力は、築年数の古い住宅を再利用できるので、新築を購入するよりもコストが安くすむことだ。もとの物件や工事の内容にもよるが、伝統的な建物の雰囲気を味わうこともできる。

ソーシャルレンディングでリノベーションを行うとは

不動産の販売・賃貸を行う会社のなかには、自社で築古物件を購入後、リノベーションでバリューアップし販売するなど、リノベーション物件を専門に扱うところもある。

購入者の目的も居住用だけではない。不動産投資でも、築古の物件を安価で購入し、リノベーションによって周辺相場より高い賃料で貸し出すことができれば、魅力な投資方法になる。投資家向けのリノベーション物件を販売し、運用のアドバイスを行うことを専門とする不動産業者もあるほどだ。

このようなリノベーション物件による不動産投資は、現物不動産に限ったものではない。ソーシャルレンディングを通じても可能だ。不動産業者は物件の取得費用やリノベーションの施工費用などをソーシャルレンディングで借り入れる。不動産業者はその物件を再生し、発生した収益をもとに元本と利息が投資家に支払われるというわけだ。不動産投資案件を専門に扱うソーシャルレンディングの運営会社もあり、予定利回りが10%近くに達する案件もある。

ソーシャルレンディングが活発化する不動産投資、注目はリノベーション物件

ソーシャルレンディングは借り手と不特定多数の貸し手をつなげることによって、柔軟な資金調達を可能にする。多額な資金が必要となる不動産業者に利用されることが多く、不動産業界全体の活性化につながる。今後も不動産業界およびソーシャルレンディングの動向から目が離せない。 (提供: みんなの投資online

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