住宅の購入を検討してみたことのある方は多いでしょう。持ち家には、賃貸とはまた違ったライフプラン(経済的観点での人生計画)が必要です。諸費用や頭金、ローンの返済など、考慮すべきことを解説します。

住宅購入にかかる費用

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(写真=Anetlanda/Shutterstock.com)

住宅の購入には諸費用がかかります。一般的には物件価格に対して、おおよそ5〜10%程度が相場とされているようです。

なお、金融機関や保証会社、収入や勤め先などの属性にもよりますが、全額ローンが組めるとは限らず、頭金が必要なことがあります。諸費用はローンの対象にならないこともあるようです。

国土交通省の「平成27年度住宅市場動向調査」によれば、自己資金比率の平均は分譲戸建て住宅で28.9%、分譲マンションで44.3%、中古は戸建て・マンションともに40%余りでした。必ずしも平均値に近づける必要はありませんが、無理のない返済の目安になります。

仮に3,000万円の物件を購入し、諸費用が約7%として約200万円、合計3,200万円かかったとします。35年返済、金利は年1.5%だとすると、毎月の返済額は次のようになります。

頭金を物件価格の30%用意した場合 : 頭金900万円、毎月返済額 約7万1,000円
諸費用も含めて全額ローンを組んだ場合 : 毎月返済額 約9万8,000円

賃貸との比較

住宅購入にかかる費用を、賃貸と比較してみます。まず初期費用として、賃貸は敷金・礼金・仲介手数料・前家賃(事前に支払う家賃のこと)がかかります。先ほどの住宅市場動向調査によれば、前家賃以外は1ヵ月分とする結果が一番多くなっています。月額家賃10万円、敷金・礼金・仲介手数料がそれぞれ1ヵ月、前家賃が1.5ヵ月とすると、55万円が必要です。保険料などその他初期費用を含めると、60万円弱といったところでしょう。購入の場合は先ほどのとおり、ローンの内容次第です。

次は維持費です。賃貸の場合は住み続ける限り賃料が発生します。更新手数料は2年に1度、家賃の1ヵ月分が標準です。住宅保険への加入が必須となることもあり、2年間で数千円~2万円程度みておきまよう。経年劣化による故障などの修繕費は大家が負担することになるので、基本的に借り主は負担しません。

購入の場合、シロアリや雨漏り、壁面の塗り替えなどの修繕費が発生します。マンションであれば、修繕積立金と管理費が毎月発生します。固定資産税がかかるのも、購入と賃貸の大きな違いです。

住宅を購入すると、最終的には自分の資産になることを考えればお得感がありますが、災害や経年劣化にどのような対策を講じて、ランニングコストを抑えることができるかが、購入か賃貸かを選ぶポイントになりそうです。

購入後はどうする?

住宅購入の魅力は、多様な活用法があることです。ローンを払い終えれば毎月の住居費が大幅に減るだけではなく、運用して利益を出すことも可能になります。子どもの独り立ちをきっかけに広い家を売却し、コンパクトな家を買うのもいいでしょう。賃貸に出して家賃収入を得ることができるかもしれません。

自分にもしものことがあっても、配偶者や子どもに住居を残すことができるのも魅力です。ローン返済中に本人が亡くなっても、団体信用生命保険に加入していれば、その後のローン返済が免除されます。

住宅の資産価値が認められれば、担保に入れてお金を借りる(不動産担保融資)ことができます。事業性資金やフリーローンの他、リバースモーゲージを利用して老後の生活資金向けに活用することもできます。

住宅購入は計画性が大切

住宅購入で必要な諸費用は多岐にわたり、頭金はケースによって異なります。居住中にかかる費用も賃貸のそれとは違い、将来的に資産として活用する選択肢もあります。初期費用から数十年後の活用方法まで、計画的に考えることをおすすめします。