フィデリティから今年も「フィデリティ グローバル調査レポート 2017」が発表された。この調査レポートは公表データや公式指標に基づいて行われる各産業のマクロ経済的な見通しではなく、フィデリティのアナリストが1年間で約1万7000回に及ぶ企業インタビューと、それを踏まえた独自の分析結果が公表されている。
全ての地域と業種で「企業見通し改善」
アナリストの総合センチメント・スコアによると、2016年と比較して全ての地域と業種で企業見通しが改善されている。地域別では米国や中国を始め、エマージング欧州・中東・アフリカ・中南米などで特にセンチメント・スコアの改善が見られ、業種別ではエネルギー分野、素材等が大きくスコアを伸ばした。
経営者の景況感も大幅に改善している。企業収益の伸びに最も貢献している要因について、各業種の最高経営責任者は2016年の調査ではコスト削減やコスト効率が44%と企業努力を真っ先に挙げていたのに対し、2017年の調査では市場の伸び・最終需要の伸びが47%と、企業努力ではなく最終需要の伸びに強い自信を示している。
自己資本利益率についても多くの業種で改善する予想がみられる。特にエネルギーや素材の分野でその改善傾向が顕著だ。設備投資についても底打ちの兆しが見えている。
アナリストの半数以上が設備投資が増加する可能性があると回答しており、ここ3年間で初めてのこと。ただし中国の担当アナリストは、中国では設備投資がさらに減少すると予測している。中国は現在、投資・輸出主導型の成長から消費主導型の成長モデルに移行する過程であるため、設備投資の減少も予想の範囲内であると言える。