世界で最も軍事支出が大きい15カ国を調査したレポートから、日本は8位であることが判明した。

アジア圏では中国に次ぐ第2の軍事費大国だが、データ の観覧できる1988年以降、対GDP(国内総生産)比は常に1%前後にとどまっており、15カ国中小規模の部類にはいる。また2016年の世界軍事費を占める割合は2.7%、過去10年間の推移は2.5%増と最も低い。

ロシアがサウジに代わる三大大国に

このレポート はSIPRI(ストックホルム国際平和研究所)が1949年から収集している各国の軍事支出データに基づいて作成したもので、最新版(2016年)では順位に細かい変動が見られる。1位、2位は世界二大軍事大国、米と中が維持したが、3位、4位が入れ替わり、サウジに代わってロシアがランクインした。

これら15カ国の総軍事費は1兆 3600億ドル(約151兆4904億円)にのぼり、世界総額の81%に値する。実質ベースでは0.4%の増加となった。

世界の軍事費の36%を占める米国だが、過去10年の支出は4.7%減っており、118%増した中国とは対照的だ。軍事費増加傾向はロシア(87%増)やアラブ首長国連邦(123%増)、インド(54%増)にも強く見られ、英国(12%減)やイタリア(16%減)では徐々に削減されている。

対GDP比ではサウジが10%(SIPRI推測)と最も高く、ロシアやアラブ首長国連邦が5%台だ。

軍拡するアジア、オセアニア 欧州の対GDP比は低め

地域別の過去1年の推移を見てみると、アジア・オセアニア圏における支出が最も増えており(4.6%)、支出総額は4500億ドル(約50兆1705億円)に達している。過去2年と比較すると増加率はおさえられているものの、韓国と北朝鮮、日本と中国間の緊迫状態がさらに増していることから、軍拡傾向は継続すると予想されている。

欧州(2.4%から3.5%増)、北米(1.7%増)が続くが、トップ15にランクインしている欧州国の対GDP比は1.2%から2%と比較的低めだ。

中米およびカリブ圏(9.1%減)、南米(7.5%減)、アフリカ(1.3%減)は軒並み支出をおさえている。紛争が続くイラク(36%減)やサウジ(30%減)などの中近東も、削減が見られる。

2015年から2016年にかけて支出を最も拡大したのは、ラトビア(4億700万ドル、44%増)、ボツワナ(5億1500万ドル、40%増)、リトアニア(6億3600万ドル、35%)などの小規模な共和国が多い。アジア圏ではフィリピン(38億9900万ドル、20%増)だ。

「軍事費大国トップ15」前年の順位、総支出額

15位(15位)イスラエル 180億ドル
14位(14位)アラブ首長国連邦 228億ドル
13位(12位)ブラジル 237億ドル
12位(13位)オーストラリア 246億ドル
11位(11位)イタリア 279億ドル

10位(10位)韓国 368億ドル
9位(9位)ドイツ 411億ドル
8位(8位)日本 461億ドル
7位(6位)英国 483億ドル
6位(5位)フランス 557億ドル
5位(7位)インド 559億ドル
4位(3位)サウジアラビア 637億ドル
3位(4位)ロシア 692億ドル
2位(2位)中国 2150億ドル
1位(1位)米国 6110億ドル
(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)