かつての高度成長期から以降、日本人の消費行動は冷蔵庫、洗濯機、掃除機の「三種の神器」や乗用車、クーラー、カラーテレビを指す「3C」などに象徴される通り、モノの所有価値を重視する「モノ消費」一辺倒だった。

ところが最近に至って、消費者の価値観やお金の使い方が大きく変化し、商品やサービスを購入することによって得られる「使用価値」が重視されるようになってきた。「コト消費」とは、この「使用価値を重視した消費行動」のことを意味している。

「コト消費」の傾向が強まっている

富裕層,お金持ち
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「コト消費」とは、経済産業省が2015年度にまとめた「地域経済産業活性化対策調査」によれば、製品を購入して使用したり、単品の機能的なサービスを享受したりするだけでなく、「一連の体験」を対象とした消費活動のことだと定義している。

個別の製品やサービスの持つ機能的価値を消費する「モノ消費」や、公共事業・補助金による施設整備によって誘発された「ハコ消費」に対し、製品群やサービス群が一連の体験として時間経過の中に溶け込んで、1つの情動的な価値を持った「コト」として認知されるようなケースが想定されているわけだ。

その典型的な兆候は、最近は購買の判断基準が「所有すること」ではなく、購買によって得られる特別な時間や体験、サービスや人間関係などを重視しているという傾向に見ることができる。特に60歳代以上のシニア世代の富裕層には、こうした傾向が顕著だ。そこでここでは、いくつかの具体例を見てみることにしたい。

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