かつての高度成長期から以降、日本人の消費行動は冷蔵庫、洗濯機、掃除機の「三種の神器」や乗用車、クーラー、カラーテレビを指す「3C」などに象徴される通り、モノの所有価値を重視する「モノ消費」一辺倒だった。

ところが最近に至って、消費者の価値観やお金の使い方が大きく変化し、商品やサービスを購入することによって得られる「使用価値」が重視されるようになってきた。「コト消費」とは、この「使用価値を重視した消費行動」のことを意味している。

「コト消費」の傾向が強まっている

富裕層,お金持ち
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「コト消費」とは、経済産業省が2015年度にまとめた「地域経済産業活性化対策調査」によれば、製品を購入して使用したり、単品の機能的なサービスを享受したりするだけでなく、「一連の体験」を対象とした消費活動のことだと定義している。

個別の製品やサービスの持つ機能的価値を消費する「モノ消費」や、公共事業・補助金による施設整備によって誘発された「ハコ消費」に対し、製品群やサービス群が一連の体験として時間経過の中に溶け込んで、1つの情動的な価値を持った「コト」として認知されるようなケースが想定されているわけだ。

その典型的な兆候は、最近は購買の判断基準が「所有すること」ではなく、購買によって得られる特別な時間や体験、サービスや人間関係などを重視しているという傾向に見ることができる。特に60歳代以上のシニア世代の富裕層には、こうした傾向が顕著だ。そこでここでは、いくつかの具体例を見てみることにしたい。

三越伊勢丹HD <3099> の「プレミアムクルーザー」

三越伊勢丹のグループ会社である三越伊勢丹旅行が提案している「プレミアムクルーザー」は、通常45席の大型バスの座席をわずか10席に限定することによって、圧倒的なゆとりの空間を実現しようというコンセプトのもとに実現した、オリジナルのデラックスバスだ。

このバスには、ゆったりと体を包み込むような大型のリクライニングシートや、広々とした化粧室が備えられており、ファーストクラスのバス旅行を満喫することができる。もちろん車内では、専属アテンダントによるひざかけやクッションや飲物のサービスなど、きめ細かい「おもてなし」が提供される。

プレミアムクルーザーを利用する旅には、6月15日の木曜日に出発する「草津温泉『つつじ亭』と『赤倉観光ホテル プレミアム棟』で寛ぐ 3日間」が22万8000円から27万7000円、6月20日の火曜日に出発する「ベラビスタ スパ&マリーナ尾道と別邸音信 清流の恵み 割烹美加登家の天然鮎 4日間」が38万8000円から44万8000円など、従来のツアー料金とは明らかに差別化された設定になっている。

瀬戸内海クルーズに和製高級客船「せとうちクルーズ」

広島の有力企業で持株会社のツネイシHDグループの「せとうちHD」に属する「せとうちクルーズ」は、2017年10月17日に瀬戸内海で就航する小型ラグジュアリー客船「guntu(ガンツウ)」の予約販売を開始した。旅行代金にホテル施設内の食事やドリンク、プールやリラクゼーション施設の利用料金、マリンスポーツなどのアクティビティ料金などがほぼ全て含まれているという「オールインクルーシブ」のホテルプランだ。

「せとうちに浮かぶ小さな宿」をコンセプトとする客船のデザインは、建築家の堀部安嗣氏が担当している。また、食事は東京「重よし」の監修の下、地元産の食材を活かした料理が天候や乗客の好みに合わせて提供されるという。

東京の帝国ホテル本館内にオープンした「guntu Gallery」で販売される、1室2名の客室数は全19室で、室料は1泊40万円から100万円という価格設定にもかかわらず、10月中のツアーは人気が殺到する中、抽選販売となる見込みだという。

小型航空機による総合旅行サービス

同じく「せとうちHD」に属する「SKY TREK(スカイ トレック)」は、日本で初めて会員制の小型航空機を活用した総合旅行サービスを展開している。航空路線のない地方空港間の移動や、陸路では途方もなく時間のかかるルートなど、これまでは到底行くことができなかったような場所へも、快適な旅が可能となったのだ。

会員は、専用のスマートフォン用アプリからフライトをオーダーするだけで、大手航空会社をはじめ、ヘリコプター、ハイヤー、レンタカー、ホテルなど、目的地に至る最速かつ快適なルートをシームレスに予約することができる。まさに「オーダーメイドの空の旅」が提供されるというこのサービス。2017年の夏のスタートが予定されており、現在は第一期の会員を募集中だという。(ZUU online 編集部)

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