今度は、高度な気づきが成長のサイクルに欠かせないことを探っていきたいと思う。最高に幸せで成功した人とは、自分の内と外の環境を最も強く意識している人でもある。彼らは成長してリーダーシップをとるために、脅威とチャンスがないかと絶えず両方に目を配っている。変化を起こしたり向上するための準備をしたりするには、気づきが出発点だ。

そうして事を運んで変化を起こせば、成長のためのさらなるチャンスに気づくようになる。そして今度は、この気づきのレベルがいちばん奥深くにある自我から、人生の3つの体験領域へと広がっていく。

(本記事は、マーク・ディヴァイン氏(著)、露久保由美子氏(翻訳)の『アメリカ海軍が実戦している「無敵の心」のつくり方』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています)

気づきには「私」「私たち」「それ」という3つの領域がある

セルフマネジメント
(写真=PIXTA)

私たちのほとんどは、なんらかの形の厳格な組織構造を出て次へと進まなければならない経験をしている。なにしろ軍隊でも企業でも教育機関でも、そうした組織が20世紀には大半を占めていたし、今なおそれは変わらない。そんななかで、さまざまなチームや組織にいかに溶け込み―そのなかでいかに変わるか―その気づきとものごとを見る目を鋭敏に養うことが、私の言う3つの気づきである。

その3つとは、「私」「私たち」「それ」の領域で、これが仕事に関連した領域のことであれば、私は「自己」「チーム」「組織」とも呼んでいる。3つは相互に依存し、たがいに因果効果がある。ひとつを変えれば、すべての領域が影響を受ける。

「私」「それ」「私たち」のこの区別は、文字で読んでいると一目瞭然に思えるかもしれない。図星ではないだろうか? しかしそう簡単に区別はつかない。それは、私たちがボトルのなかにいて、外のラベルが読めないからだ。いつでも自分や他人に何が起きているのかがわかれば、強力なメンタルモデルになるかもしれない。

この区別をモデルとして活用するためには、3つの領域が真ん中で交わるところに自分を置き、「私」「私たち」「それ」の領域のなかで何が正しくて何が間違っているか、何が機能していて何が正常に動いていないかを自問してみることだ。

『アメリカ海軍が実戦している「無敵の心」のつくり方』クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2016/11/21) 画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
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普遍的な法則に自分の信念を合わせる方法

普遍的な法則は、ある文化のなかや文化をまたいでも変わらない信念の基礎を形作る。

では、自分の信念を分析して整理し、普遍的な法則とさらに足並みを揃えるにはどうすればいいのか、実践的な問題に目を向けよう。

洞察瞑想では、瞑想を行う内面的な問題を自分で選ぶ。その問題への気づきは、政治的な立場やお金との付き合い方など、ある状況を他人ならどう見るかと考えることで得られる。こうした相対的な信念は多くの場合、生まれ育った家庭やルーツである地元の文化に大きく影響を受けており、そのため、心理的にも感情的にも愛着が強い。

その問題について、自分は正しくてみんなが間違っているのだとただ決めつけるのではなく、複数の視点から深く熟考すること。そうして心に浮かんできたものに気づきをとどまらせ、自分が注目している対象のなかに入り込もうと努める。この作業にさらに深く身を沈めたら、その対象について積極的に考えるのをやめる。

考えるのではなく観察し、浮かんでくるものに静かに注目する。そうして浮かんでくるものが、もう役には立たないかもしれない過去の信念体系に対するあなたの考え方や執着についての洞察である。

観想は洞察瞑想と似ているが、大きな違いがひとつある。内面を見つめて信念や行動について考えるのではなく、観想をするきっかけとなった外的な何かを見つけるのである。

再現という視覚化のプロセスは、マイナス思考を根絶やしにし、あなたの妨げとなっているBOOの信念や行動をなくすのに非常に役立つツールである。

リーダーとしての成功は「6つの美徳」で決まる

リーダーとして最高レベルの成功を収めるには、真に優れた人間性を目指して、戦士の美徳を自分の人間性として習慣づけていかなければならない。そうすればその美徳があなたの運命を保証するはずだ。

では私たちにとってどんな美徳が最も力を持っているのだろう。私にとっての美徳トップ6を紹介しよう。

【信頼】
重要なのは、信頼性についてチームと対話を始め、メンバーの弱さや、率直で正直な意見に進んで触れることである。

【リーダーシップ】
結論として、リーダーとは優れたセルフマネジャーであり、インテグリティを持った卓越したリーダーたる必要がある。

【謙虚さ】
したがって私は、優れた人間性と真のリーダーシップを磨く最善の方法は、「リーダー昇格」にすぐに飛びつくのではなく(選択肢がないのでないかぎり)、追随者として注意深く観察してまわりの役に立ち、謙虚に行動することだと感じている。

【責任】
行きすぎた規則や、万一のときに叱責される(またはもっとひどい目にあう)不安に縛られることなく、チームのメンバーそれぞれが任務とチームに自分で責任を負うことができれば、そしてみなが責任を共有してチームの成功を目指すという基準にメンバーそれぞれが説明責任を持つことができれば、強力な相乗効果をもたらすはずである。

【決意忍耐】
決意が、毎日参加して100パーセント出し切りつづける意思であるなら、忍耐とは、どんな障害が行く手に立ちふさがっても最後まで進みつづける鍛練である。