2017年2月20日、第3回日本ベンチャー大賞の受賞者が発表され、首相官邸において受賞者への表彰状授与が行われました。今回の大賞(内閣総理大臣賞)受賞は、サイバーダイン株式会社です。他にも農林水産大臣賞や経済産業大臣賞などに、特色あるベンチャー企業が選出されています。

ベンチャー企業として、いわば国から「将来有望」のお墨付きをもらったともいえる賞ですが、投資先としてもなかなか魅力的かもしれません。実際、受賞企業の業績はどうなっているのでしょうか。

大賞受賞企業の株価は大幅反発

Venture
(写真=Elnur/Shutterstock.com)

「日本ベンチャー大賞」は、「次世代を担う若者や起業家のロールモデルとなるような、社会的インパクトのある新事業を創出した起業家やベンチャー企業を表彰し称えることにより、積極的に挑戦することの重要性や起業家への評価を浸透させ、もって社会全体のチャレンジ精神の高揚を図ることを目的」として創設されたものです。2015年に始まり、今回が3回目となります。

大賞(内閣総理大臣賞)には、世界初のサイボーグ型ロボット「HAL」の開発で有名なサイバーダイン株式会社が選ばれました。ほか、ベンチャー企業と大企業の優れたコラボに与えられるベンチャー企業・大企業等連携賞(経済産業大臣賞)には、リアルタイム機械学習技術を手掛ける株式会社Preferred Networksとファナック株式会社が選ばれました。

女性起業家賞(経済産業大臣賞)には皮膚医療の技術を専門とする株式会社ナノエッグ、2017年から始まった農業ベンチャー賞(農林水産大臣賞)には、「近大マグロ」で有名な近畿大学の養殖技術を核に起業した株式会社アーマリン近大が選ばれています。

ちなみにサイバーダイン株式会社は、2014年3月に上場を果たしています。その株価は、受賞直前には低落気味だったものの、この受賞のニュースを受け、翌21日には株価が大幅反発しています。

受賞企業の株価の長期的値動きは?

「社会的にインパクトがある」と国にも認められた技術力。受賞翌日の市場の動向。それらを見ると、投資先としても有望に思えますが、実際にはどうでしょうか。

サイバーダインの上場は前述のように2014年春ですが、筑波大学教授の山海嘉之社長が同社を設立したのは2004年のことです。上場前の10年間にも、先進的なアイデアと技術で注目を集めてきた企業とあって、上場時には公開価格の倍以上の株価が付くという人気でした。

上場直後、損益見通しの下方修正で落ち込んだりしたものの、2014年夏以降は1,500~1,600円程度を中心に上下、2016年初夏には2,500円を突破する高値を付けています。

それに比べると、2016年後半以降は(受賞時の反発はあったものの)ほぼ以前のレベルでの動きといえるでしょう。今後株価が大きく右肩上がりするかどうかは、「今後伸びそう」という「イメージ」よりも、業績向上に結び付く具体的な(数値的あるいは製品的)裏付け次第、というところでしょうか。

自分の投資ポリシーも再確認しよう

ベンチャー企業とは、本質的に「先駆者」であり、一言で「ハイリスク・ハイリターン」とよく言われます。ビジネスモデルや技術が描く未来に意義を感じるのか、冷徹に“リターン”の効率を計算するのか、その姿勢によっても「リスク」の捉え方は変わってくるものです。

ベンチャー企業への投資を考えるのであれば、「自分の投資ポリシー」も再確認することが重要かもしれません。(提供: IFAオンライン

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