1999年に立ち上げられた“金融版ウィキペディア”ともいえる英語金融辞書サイト「インベストペディア」。ウィキのように非営利団体による運営ではないが、投資初心者から上級者に至るまで、金融に関する様々な用語やコンセプトを検索し、動画付きでわかりやすく学べるように工夫されているとても便利な情報源だ。ネット分析のSimlarWebが集計した世界投資サイト格付けで6位のランキングを誇る。
インベストペディアに取り上げられれば「一人前」
金融界では、「新しい仕組みや概念がインベストペディアに取り上げられれば、それは『一人前』になったことだ」と見なされる。
代表例が、IT技術を駆使した新たな金融サービスの「フィンテック」だ。実は、ほぼ30年の歴史がある古いコンセプトだが、インベストペディアに初登場したのは2015年になってから。「ついに金融用語として認められた」と、話題になった。また同年には急成長を遂げるベンチャー企業を指す「ユニコーン」もインベストペディアの辞書に加えられている。
誰でも解説者になれる非中央集権型オンライン百科事典のウィキペディアとは違い、インベストペディアの辞書である「アカデミー」では金融各分野の著名な専門家が記事を執筆し、専任の編集者やデータサイエンティストたちがチームでその内容を監修して、簡潔でインパクトのある解説を提供できるよう心掛けている。
主に「信頼できる辞書」として知られるインベストペディアだが、最新の金融・経済ニュースや株式分析、投資ファンド解説、テクノロジーの注目株、投資オプション、リタイア後のマネー管理など多様な分野に記事や動画を常時アップロードし、訪問者が正しい投資判断ができるように手助けしている。
訪問者の質問に答えるファイナンシャルアドバイザーは無報酬だが、サイト内の投資相談室「アドバイザー・インサイト」の25の質問に答えると自分を紹介する動画を無償でインベストペディアにおいて流してもらえる。50の質問に答えれば、「今日の用語」のコーナーで広告を打てる特権も与えられる。
回答数が200以上と多いアドバイザーには、投資アドバイスを求める訪問者をマッチングして、アドバイザーのビジネスの収益源にできるようにするサービスもある。インベストペディアが擁する30万人のアドバイザーのうち、選りすぐりの100人の専門家を紹介する。これは、著名で信頼ある執筆陣を誇るインベストペディアだからこそ提供できるサービスである。競合のナードウォレット、キプリンガー、クレジット・ドットコムなどにはマネができない。
訪問者(トラフィック)は年率20%近くで成長して月間2700万人に達する一方、ページビュー数は月間7100万、動画再生数は月間700万、主に閲覧されたページに出稿された広告などから得る収益は前年比40%も増加するなど、ブランド力を確立した同社は投資先としても面白い企業だ。