相続した財産に土地があった時は要注意だ。すぐに登記事項証明書を取り寄せ、「抵当権」がないか調べるべきだ。

先日、相談に来たAさんも、土地に「抵当権」があることが後で分かり、悩んでいた一人である。

相続と「抵当権」

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(写真=PIXTA)

Aさんの母親が亡くなったのは2カ月前、既に父親は5年前に亡くなっている。Aさんには弟Bさんがいて、法定相続人はAさんとBさんの2人だ。母親が残した財産を整理したところ、主な財産は不動産(家、土地)と預貯金だった。

長男のAさんが不動産すべてと預貯金の2割、Bさんが預貯金の残り8割を相続することで、お互いの相続額が同程度になることが分かった。2人の兄弟仲は良好だったので、この割合で相続するという方向でほぼ合意することができた。

しかし、遺産分割協議書を作成する段階になって、土地の登記事項証明書を取り寄せてみたところ、「抵当権」が設定されていることが判明した。AさんはBさんに対して、相続手続きを一旦待ってもらうように頼み、相談に来られた。

「抵当権」があったらどうなる?どうする?

「抵当権」という言葉はよく耳にするが、その意味をよく理解している人は、それほど多くはないはずだ。相談に来られたAさんもそうで、まず抵当権とは何かを説明した。

「抵当権」とは、要は家を建てる際に組む「住宅ローン」で、銀行などの金融機関や個人からお金を借りる際に、不動産に設定される「担保権」のことである。担保とは、お金を借りた側が借主に返済できない場合に、その返済の代わりとして提供するものだ。

不動産に「抵当権」がある場合には、少なくとも過去にその不動産を担保にして、借金をした事実があることを示している。この「抵当権」の特徴としては、お金を貸した人に物件を引き渡す必要がなく、不動産の持ち主(お金を借りた人)がそのまま日常的に使用できるという利点がある。

逆に言えば、不動産の「登記事項証明書」を取り寄せて調べない限り、「抵当権」の存在、つまり借金の存在が明るみに出ないという欠点も併せ持っている。相続財産に不動産がある場合、この点が最もトラブルを生む可能性がある。

説明を聞いたAさんが驚いた様子で、「父親か母親が借金をしていたということですか?」と質問された。無理もない。誰もが、自分の親が亡くなった後に借金の存在が判明したら驚くはずだ。

そこでAさんには慎重に調べるようにアドバイスした。もしかしたら、借金は返し終わって、「抵当権」が残ったままということも考えられるからだ。住宅ローンを払い終えて、銀行への借金がなくなった場合、その銀行から完済証明書をもらって、法務局で抵当権抹消登記をしなければならない。

ただ、この手続きを怠っていた場合には、借金がなくなったのに、不動産に「抵当権」が残ったままになってしまう。つまり、「『抵当権』がある」=「借金が残っている」ということにはならないのだ。

そこで、当職はまずAさんに、「抵当権」を設定している金融機関に、住宅ローンの残りがあるかを調査するように、アドバイスを行った。また同時に、母親の遺品から住宅ローンなどの契約書を探すようにお願いした。住宅ローンの残債はあるのかどうか、それがわからないと、何も始まらない。

「抵当権」は誰が相続する?

Aさんがもう一つ心配していたことは、「抵当権」は誰が相続するのかという点である。現在、不動産はAさんが相続することで話がまとまりつつある。「抵当権がある不動産を私が引き継いだら、支払っていない借金までも支払う義務があるのでしょうか」と聞かれた。

基本的に土地を相続したら、それに付随してくるものも相続人が引き継ぐことになる。Aさんの場合も、不動産を相続したAさんが「抵当権」をそのまま相続しなければならなくなる。

Aさんの場合は少々事情が違う。相続はまだ話し合いの段階で、正式な遺産分割協議書を作成していないという点、相続の話し合いを行う中で、AさんもBさんも「抵当権」の存在を知らなかったという点で、「抵当権」をAさんに全て相続されるのは、不合理である。

相続財産は、それぞれの財産の相続人が決まるまでは、相続人全員のものである。従って、もし「住宅ローン」などが完済されず、借金が残っていた場合には、相続人全員、つまりAさんとBさんの2人で返済することになる。(ZUU online 編集部)