日経平均予想ジ レンジ 19,887 ~ 20,500 円
今週前半は、イタリア政治やギリシャ債務問題など欧州市場の不透明感からの円強含みが重しとなり、日経平均は4日間小幅続落した。その後、週末には米国株最高値更新や国内経済の回復基調が確認されたことなどから買い戻され、2015年8/19以来の20,200円水準を回復した。
海外の焦点
注目の米経済指標は、6/1発表のISM製造業景況指数は54.9と前月の54.8を上回った。ADP5月雇用報告では前月比25.3万人増と予想の18.5万人増を大幅に上回ったこともあり、米景気の先行きに対する楽観的な見方が広がり、NYダウは3カ月ぶりに史上最高値を更新した。
一方、6/2発表の5月雇用統計は18.2万人増が見込まれており、想定される25万人増の水準を10カ月連続で下回ることとなれば、増加ペースの鈍化が既定路線の6月利上げに対し、6/13-14開催のFOMCに向けて思惑を呼ぶこととなろう。
市場では、むしろトランプ大統領が外遊から戻り、ロシアゲート疑惑に再び注目が集まっている。議会やメディアの追求が激しさを増せば減税の後ずれ懸念も広がり、リスク回避姿勢は強まりそうだ。6/8に開かれるコミーFBI元長官の公聴会も控えており、警戒は怠れない。
国内の焦点
東京市場は、企業の良好な業績や株主還元姿勢強化など、足元の投資尺度面での割安感に注目している。日経平均はチャート面でも中長期の各移動平均線は右肩上がりにあるなど、上昇基調は崩れていない。
テクニカル面では東証1部の25日騰落レシオが5/24、164.59に乗せるなど、買われ過ぎのシグナルが点灯した。6/1現在、130.17と高水準を維持している。因みに昨年165.6(12/15)を付けた後、日経平均は19,594円(1/4)まで買われ、18,500~19,500円のもち合い相場が約2カ月続いた。
その間、騰落レシオは100程度に低下し、3/13に19,633円の高値に進んだ。この経験則に従えば、今回、2万円台に乗せたにしても、25日騰落レシオの過熱感を冷ます、ある程度の期間は必要となる。結果として、高値もみ合いから本格反騰へはエネルギー蓄積場面形成が焦点。
来週の株式相場
以上、来週は1-3月期法人企業統計で設備投資額が前年同期比4.5%増加と2四半期連続増加となり、8日発表される1-3月GDPの押し上げが期待される。外部環境の落ち着きを見据え、バリュエーション面での割安修正本格化で上値試しの展開と見ている。日経平均のレンジは、上値は節目の20,500円が意識され、下値は6/1窓埋め19,887円が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト