トランプ米大統領が6月1日に離脱を表明した「パリ協定」。世界第2位の二酸化炭素(C02)排出国である米国の離脱に参加国から動揺の声が上がっている。温暖化問題解決に向けた国際協調の枠組みが大きく揺らいでいる。

「パリ協定」とは地球温暖化対策をまとめた国際協定

地球温暖化,トランプ大統領
(写真=PIXTA)

「パリ協定」とは2020年以降の地球温暖化対策をまとめた国際協定である。地球温暖化の問題が深刻となる中、対策には各国の協調が不可欠となる。2015年12月にパリで開催された第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択され、2016年11月に発効した。

従来の温暖化対策の枠組みは1997年に採択された「京都議定書」が担ってきた。「京都議定書」は温暖化対策で各国の協調を実現し、非常に意義のある物であったが、制度上の問題点も指摘されてきた。米国が不参加である点や、先進国には温暖化ガスの排出削減義務が課せられる一方、新興国には数値目標を課さないといった点等である。2020年に「京都議定書」の約束期間が終了する事を受け、ポスト京都として作られた枠組みが「パリ協定」である。

「パリ協定」は今世紀後半に温暖化ガス排出を実質ゼロにし、産業革命前と比較して世界の平均気温の上昇を2度未満に抑制、1.5度未満を目指す事を目標としており、2020年からの各国の温暖化ガス削減を促す。内容は「京都議定書」の反省を踏まえたものとなっている。温暖化対策には新興国の削減も不可欠という立場に基づき、新興国を含め、協定参加国全てが自国で削減目標を策定する事となっている。

一方で、「京都議定書」では先進国の削減は義務とされていたが、「パリ協定」では削減は目標とされ、表現が弱められている。「京都議定書」で米国が離脱した事の反省を受け、参加国最大化を目指し、強い表現を避けた。米国を含め195カ国が署名した非常に重要な国際協定である。

「パリ協定」離脱が与える影響