「バラ売りのトマトと箱入りのトマトではどちらが得か」「銀行をよそおって口座情報を聞きだそうとする詐欺メールを見抜けるか」--。

世界15カ国で、15歳を対象に冒頭のような質問を投げかけ、お金に関する知識を調べたところ、最高スコアを獲得したのは中国で、566ポイントだった(北京・上海・広東・江蘇省の中央値)。最低スコアはブラジルで393ポイント。残念ながら日本は調査に含まれていない。

この調査は2015年にOECD(経済協力開発機構)が実施した学習到達度調査(PISA) の結果を分析したもので、金融リテラシー度の高い生徒は数学と読解のテスト結果もよいことなども報告されている。

対象となった加盟10カ国・提携5カ国の15歳、4万8000人のうち、12%が高度な金融リテラシーが身についているのに対し、22%はまったく知識がない。

金融リテラシーが高い生徒はわずか1割

金融リテラシー,子ども,お金
(写真=Thinkstock/Getty Images)

懸念されるのは、これらの生徒の64%がすでに何らかのかたちで収入を得ている、あるいは59%が小遣いや給付金を受けている点だ。金融の知識が欠乏している状態でお金を得て、使っているということになる。

過半数は銀行口座を開設しているが、あくまで「お金を一時的に出し入れするためのもの」という枠組みにとどまり、貯蓄や管理といった概念は見られない。

調査には銀行商品(カード、口座、融資、モバイル決済など)に対する理解力や、資産や税金に関する高度な質問も含まれていたが、正解率はわずか10%だ。多くの生徒が銀行明細の読み方すら理解していない。

経済的に恵まれている家庭の生徒のスコアは、恵まれていない家庭の生徒よりはるかに高いこと、現居住国で生まれ育った生徒の方が、移民の生徒より金融リテラシーが高いことなども報告されている。

2012年の分析結果と比較してみると、生徒の金融リテラシーに著しい向上が見られる国はイタリア(17ポイント増)、ロシア(26ポイント増)など。オーストラリア(22ポイント減)、ポーランドおよびスロバキア(25ポイント減)、スペイン(16ポイント減)は、大きく後退した。

金融リテラシーの高い生徒は読解力・数学力でも優れているとの傾向が報告されているものの、加盟10カ国のスコアの38%に金融スキルに特有の要素が反映されていることを考慮すると、教育機関や家庭での金融リテラシー教育を強化する必要性は否めない。

現代の若者はひと昔前と比べて、はるかに金融スキルが必要な時代に生きている。年々値上がり傾向にある大学費用から金融商品・サービスのデジタル化まで、複雑な経済社会に対応できるだけの能力を養う機会の提供を、既存の教育システムに組み込むべきだ。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

【編集部のオススメ記事】
「従業員からの支持率が高いCEOランキング」
世界の15歳調査、お金のリテラシーが一番あるのは「中国」
トップ企業は時給7000円超 「上場企業の時給ランキング2017」
「長く快適に働ける」企業トップ20 1位の企業「転職は厳しい」の声も
お金を稼ぐには地理を学べ 代ゼミの名物地理講師が説く「経済を地理から学ぶべき」理由