トランプ大統領による「米国、パリ協定離脱」決定に対し、GEやテスラなど企業のCEOから非難の声が殺到している。

テスラのイーロン・マスクCEO は、協定離脱発表と同時にトランプ大統領諮問委員会脱会を発表。ゼネラル・エレクトリックのジェフリー・イメルトCEOは、離脱に失望感を示すと同時に、「これからは政府ではなく、企業が環境保護対策をリードすべき」と、前向きな姿勢を示している。

2016年は二酸化炭素排出量を3%減らした米国

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

国際的な地球温暖化対策であるパリ協定からの離脱は、これまで気候変動におけるリーダー的存在を果たしてきた米国が、その役割を放棄することを指す。

パリ協定は温室効果ガス排出二大国である米国と中国が中心となり、2015年に合意されたものだ。地球の気温上昇を産業革命以前と比較し、1.5度未満におさえる取り組みを目標としている。

この取り組みが功を奏し、両国ともに2016年の二酸化炭素排出量は減少 。特に米国は3%も減らし、1992年以来の低水準を達成した(IEA調査)。

しかしトランプ大統領が協定から離脱を決めたことで、他国との協力関係は勿論、温暖化と戦う途上国の資金的、技術的支援などに大きな影響をおよぼす可能性がでてくる。

ゴールドマンCEO「米国の世界のリーダー的位置づけを後退させる」

今回の決定には国際大手も大きな落胆を示している。Google、Apple、エクソンモービールなど、何百もの企業がトランプ大統領に協定残留を要請していた。

諮問委員会の脱会を決めたマスクCEO はTwitterで、「温暖化問題は現実に起こっていることだ」とし、「離脱は米国にとってかしこい選択ではない」とつぶやいた。

ウォルト・ディズニー・カンパニーのロバート・アイガー会長も、「地球を守り、経済成長を促進することは、我々の未来に欠かせない」とのコメントとともに、トランプ大統領戦略政策フォーラムからの脱退を表明。

ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクフェインCEOは、「環境保護という観点だけではなく、米国の世界のリーダー的位置づけを後退させる決定」と、広範囲にわたる悪影響を懸念している。

「政府の支援を失っても、企業がリードできる」という、イメルトCEOのコメントが最も印象的だろうか。

中国は第二のリーダー国の位置づけを強調

パリ協定の離脱は「米国第一主義」を貫いた選挙の公約通りであったため、今さら驚くに値しない。記者会見にのぞんだプルイット環境保護局長官は、「米国は温室効果ガス排出量の削減を含め、地球温暖化対策に貢献している」と主張し、相次ぐ非難の反論した。

米国離脱を受け、パリ協定への参加が危ぶまれていたロシアだが、「米国離脱後も支援する姿勢は変わらない」 との正式コメントが、ドゥボルコビッチ副首相から発表された。しかしベロウソフ大統領経済補佐官は、米国の離脱がパリ協定にあたえる「大きな穴」を懸念し、今後の行方にネガティブな見解を示している。

またEUと中国は全面的な履行に同意しているものの、中国はあくまで「途上国の代表」という位置づけを強調しており、「先進国の代表」だった米国並みのリーダーシップを発揮する気配はなさそうだ。米国のぬけた穴埋めは、想像以上に困難を極めるものと予想される。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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