6月から行き過ぎた安売りに歯止めをかけるために施行された酒税法改正を受け、ビールの小売価格が上がった。

気温の上昇とともに消費量も増える傾向のあるビールの値上げは、節約志向の家計にとっては天敵。値上げ前に買い込んだ消費者も多かっただろう。当面の在庫を確保して安心したのもつかの間、ビールの中にはまだまだ試練が待ち構えているものもある。更なる値上げとなるビールとは。

「ビール」と「第3のビール」 税額は「2.75倍差」

ビール値上げ
(写真=PIXTA)

会社での宴会、友人との飲み会などまだまだお酒を口にする機会も多いが、その消費量は年々減少傾向にある。

国税庁の酒レポート(2016年)によると、酒類の消費量は1996年度の966万キロリットルをピークに右肩下がりとなり、2014年度には833万キロリットルと、ピーク時から15%近く減少した。この間、メーカーは落ち込む消費をなんとか盛り立てようと、ビール以外に、発泡酒や第3のビールの商品開発を進め消費を喚起してきた。こうした原材料の配分や成分が異なるアルコール飲料では、税率も異なる。商品のラインナップが増えるほど、アルコール飲料の間の酒税額の差が際立ち、不公平感が漂う。

具体的には、麦芽比率が67%以上と定義される「ビール」は、1缶350ミリリットルで税額は77円。一方、麦芽比率が25%未満の「発泡酒」の税額は46.98円となり、麦芽以外を原料にした「第3のビール」は28円となり、ビールと第3のビールの間の税額には約2.75倍の開きがある。この税額の差が、ビール1缶の販売価格にそのまま反映され、第3のビールより発泡酒、ビールとその値段が上がっていく。

税制改正、第3のビールに大打撃