中学生の将棋プロ棋士、藤井聡太四段の快進撃が止まらない。「第2回上州YAMADAチャレンジ杯」3回戦にも勝利。10日には「叡王戦」の予選トーナメントにも勝利し、24連勝を達成。ついに歴代連勝記録で2位タイに躍り出た。この連勝はどこまで続くのか。そして一方で気になるのが、プロ棋士と呼ばれる人たちのお財布事情。野暮は承知で、その収入の内訳を探ってみた。

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プロ棋士の収入内訳は4つ

給与事情,日本文化
(写真=beeboys / Shutterstock.com)

プロ棋士の収入は、大きく4つに分けられる。

一つはプロ公式戦での獲得賞金だ。プロ公式戦とはスポンサー(主に新聞社)が主催する棋戦で、なかでも「竜王戦」「名人戦」「王位戦」「王座戦」「棋王戦」「王将戦」「棋聖戦」は7大タイトルと呼ばれ、勝利者は多額の賞金を得ることができる。

また今年になって「叡王戦」がタイトル戦へ昇格、将棋棋戦が8大タイトルになるという発表もされている。

こうしたタイトル戦以外にも「朝日杯将棋オープン戦」「NHK杯戦」「将棋日本シリーズ」「新人王戦」「銀河戦」「ネット将棋最強戦」「上州YAMADAチャレンジ杯」「加古川青流戦」「電王戦」などの公式戦があり、また非公式戦や女流棋戦もある。それらの優勝賞金が、ブロ棋士の重要な収入源となる。

ちなみに7大タイトルの優勝賞金は、以下の通り(一部公表されていない棋戦は推定値)。

  • 竜王戦 4320万円
  • 名人戦 2,000万円
  • 王位戦 1,000万円
  • 王座戦 800万円
  • 棋王戦 600万円
  • 王将戦、棋聖戦 300万円

その他の主な棋戦の優勝賞金額(こちらも推定金額)

  • 朝日杯将棋オープン戦 1000万円
  • NHK杯戦…500万円
  • 銀河戦…非公開
  • JT杯将棋日本シリーズ 500万円
  • 新人王戦 200万円

ただし、たとえ上位に食い込むことができなくても対局料は支払われる。2万~30万円といわれている。つまり勝ち進めば勝ち進むほど、より多くの対局料を手に入れることができるわけだ。もちろん優勝すれば、ケタ違いの大きな賞金を得ることができる。

プロ棋士の収入源の二つ目は、順位戦の対局料だ。棋戦にはプロ公式戦だけでなく、さまざまな順位戦がある。それらに参加することで支払われるのが対局料。これはA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組それぞれで値段が異なる。ちなみにA級で65 万円、C1で17万円ほどといわれている。

クラスは前年度の成績で決まり、勝率や勝敗数によってランク分けされる。B2になれば、年収は360万円ほど。一般のサラリーマンと同程度だから、これならなんとか生活できそうだ。しかしC1以下だと、生活は苦しい。そこでトーナメント戦で好成績を残せるよう頑張るか、他の収入源を探すことになる。

三つ目の収入源が、たとえば指導料や解説料、大会審判料など。ただしこの金額も、上位ランクの棋士ほど高額になる。

そして四つ目が、将棋以外の収入源。有名になればテレビやCMの出演料や講演料、本を出せば書籍の印税、専門誌の執筆料、各種イベントの出演料なども入る。まさに実力がものをいう世界なのだ。

歴代順位と藤井聡太四段のこれから

日本将棋連盟の将棋ニュースによると、2016年の獲得賞金・対局料ベスト10は以下の通り。

順位 氏名 額(単位:万円) 前年順位

  1. 羽生善治 三冠 9,150万円 1位
  2. 渡辺 明 竜王 7,390万円 3位
  3. 佐藤天彦 名人 5,722万円 6位
  4. 糸谷哲郎 八段 3,543万円 2位
  5. 山崎隆之 八段 3,206万円 17位
  6. 郷田真隆 王将 3,185万円 7位
  7. 豊島将之 七段 2,492万円 8位
  8. 丸山忠久 九段 2,210万円 23位
  9. 三浦弘行 九段 1,997万円 12位
  10. 深浦康市 九段 1,849万円 9位

将棋界で初の7タイトル(当時)独占を達成し、通算成績、勝率、獲得賞金金額でもダントツなのは、いうまでもなく羽生善治3冠。獲得賞金、テレビ出演や出版印税などを加えれば、総収入は億を超えているはずだ。棋士界でもっとも知られている著名人にして高額所得者であることは間違いない。

しかし最近の藤井聡太四段の注目度はうなぎのぼり。ちなみに過去の最高連勝記録は、神谷広志八段が1987年(当時五段)に達成した28連勝である。

まずは、今回の上州YAMADAチャレンジ杯、さらにはそれ以降の公式戦で、藤井聡太四段はどこまで記録を伸ばすことができるのか、さらに今後の8大タイトル戦でどこまで上位に食い込めるのか、果たして優勝はできるのか。そして藤井聡太四段の年収は、今年どこまで上りつめるのか、いろいろな意味で興味が尽きない。(ZUU online 編集部)